News | 2001年11月30日 08:29 PM 更新 |
ファイル交換ソフト「WinMX」のユーザーが逮捕されたことを受けて,日本MMOの松田道人社長は,「ファイルローグは法に触れない」とコメントした(昨日の記事参照)。著作権者や著作権保護団体は,日本MMOにも監視の目を光らせているが,松田社長は「ファイルローグは実験的なもの」とこれを受け流す。無料のファイル交換サービスという,法的に議論の余地のありそうなサービスを国内で開始した背景,ならびに日本MMOの狙いを松田社長に聞いた。
ZDNN: なぜ,国内でファイル交換サービスを開始したのですか?
松田: 簡単に言うと,国内でP2Pのサービスを提供したらどうなるのか,確かめてみたかったからです。「Napster」や「Gnutella」などのP2Pサービスは,海外のものばかりですよね。P2Pサービスは技術的に非常にチャレンジングですし,将来性もあるサービスだと考えています。だから,国内でP2Pサービスがきちんと動くのか,実証したかったんです。誰かがやってくれてもよかったんですけど,誰もやらないので始めることにしました(笑)。
日本MMOを設立したのは,ヤフーの前に務めていたディレクティービー在籍中の1999年11月です。設立の意図は,インターネットで番組配信をするため,というのが大きいですね。ディレクにいましたが,衛星ではなく,インターネットで動画を配信する時代が間もなく到来すると思っていました。将来的に,P2Pは動画配信のプラットフォームになるはずです。
ZDNN: P2Pで動画配信ですか?
現在のインフラでは,例えば,2000万人のユーザーを同時に処理できるストリーミングシステムなど存在しません。すぐにパンクします。アーカイブではなく,リアルタイムで動画配信することなど,回線を分散させなければ不可能です。最終的には,P2Pしかソリューションはないでしょう。
ただ,現在のファイル交換システムは,データをダウンロードしてくるだけです。そこで日本MMOでは,任意の相手にドラッグ&ドロップでファイルを送信できる「DropBox Express」というソフトを来年3月頃に発売する予定です。ファイルローグと同じくカナダのITP Web Solutionsの製品なのですが,ファイルの圧縮・解凍機能を実装しており,FTPよりもずっと速く大容量のデータを送信することができます。
つまり,現在のファイル交換ソフトとは,全く逆の発想ということになりますね。実は,ファイルローグを提供した理由には,P2Pサービスの運営ノウハウを蓄積したいという目的もあります。
ZDNN: 将来のサービスのために,現在,リスクを負うことになりますが。
松田: 確かに,そうですね。実際,日本レコード協会からは2回も内容証明を送られてきました。1通目は,日経産業新聞の記事について,2通目は,われわれの返答を受けて,刑事告訴を含む法的措置を考えているという,いわゆる“最後通牒”のようなものでした。