News 2001年11月30日 08:29 PM 更新

「ファイルローグ」の狙い──日本MMO社長に聞く(2)

ZDNN: 最初の内容証明について,レコード協会には何と返答したのですか?

松田: 法廷で争う覚悟があること,著作権侵害の可能性があるファイル交換を禁止する内容をサービス利用規約に明記すること,また著作権侵害のファイルがやり取りされた場合でも,日本MMOは責任を負わないことなどです。責任を負わないことの根拠は,ファイルローグでは,ユーザー自身が交換されるファイルを指定でき,交換を許可するかどうかはユーザーが選択できるからです。

 それから,日経産業新聞に掲載された「日本の法律で違法とされた場合には,サーバおよび会社を海外に移して徹底的に戦う」というコメントについても,現在は,そのように主張する考えはないことを伝えました。

ZDNN: その内容では,レコード協会は満足せず,2通目の内容証明が届いたというわけですね。

松田: そうです。10月24日に届きました。レコード協会からは,フィルタリングの導入や巡回監視を徹底的に行うことや,それができないなら,著作権保護の仕組みが導入されるまでの間,運営そのものを延期することを求めてきました。

ZDNN: ファイルローグでは,ユーザー管理は行っていないのですか?

松田: ファイルローグのユーザーデータは,全て,カナダのカルガリーにある「FileRogueサーバ」で管理されています。ただ,ここで管理しているのは,ログインしているユーザーのID,IPアドレス,共有フォルダにあるファイルです。これらがデータベースに登録され,検索を行う仕組みになっています。ログアウトした場合,これらのデータは残りません。また,プロキシサーバ経由のアクセスを遮断するといったような対策も行っていません。

ZDNN: 結局,延期はせず,11月1日にサービスが開始されましたね。

松田: ええ。ただ,無策でサービスを開始したわけではなく,「ノーティス・アンド・テイクダウン手続き」を導入しました。権利者から通告があった場合には,ファイルの削除に応じるというわけです(詳細は昨日の記事参照)。


日本MMOの松田道人社長。改めて「ファイルローグは法に触れない」と強調した

ZDNN: これまでに,ノーティス・アンド・テイクダウン手続きに従って,ファイルを削除したことはありますか?

松田: ありません。というよりも,通知は一通も来ていません。レコード協会が,この手続きにのっとって通知してしまうと,日本MMOのやり方を認めてしまうことになりますよね。個人的な意見ですが,著作権侵害の可能性のあるファイルを消していくのではなく,サービスを提供している事業者を潰したほうが効果的だと考えているのではないでしょうか。

ZDNN: レコード協会と実際に交渉したことは?

松田: 2回あります。その際に,われわれはある提案をしました。テレビ局のように,グロスで楽曲の使用料を払ってしまい,音楽ファイルのやり取りを認めてもらうという内容です。ただ,交渉は決裂しました。

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