News 2001年11月30日 08:29 PM 更新

「ファイルローグ」の狙い──日本MMO社長に聞く(3)

松田: レコード協会と話をしていて,1つ不可解なことがありました。ファイル共有ソフトと著作権侵害の件について話をしていると思ったのですが,彼らは「歌詞カードを製作している人々や,物流はどうなるのか」と,ファイル共有ソフトが普及した際に音楽業界で中抜きが発生することを気にしているようなのです。

 そもそもこんなことは話し合いの本題ではないし,今時,中抜きはどの業界でも起こっていることを知らないのかと疑いたくなりました。

ZDNN: 現在,ファイルローグにはどのくらいのユーザーがいるのですか?

松田: 重複登録があるかもしれませんが,われわれが確認する限りでは,4万人を超えました。

ZDNN: サービス開始当初,11月末までに1000ユーザーの獲得を掲げていましたが,爆発的な勢いですね。

松田: そうですね。その影響で,妙なことが起きているんですよ。

 ITP Web Solutionsは今度,カナダのベンチャー市場に上場する予定なのですが,それに伴い,ファイルローグ事業を日本に全部まかせたいと話しています。日本の会員が急増していることで,力関係に変化が生じているからです。もちろん,上場を前にして,リスクを排除しようという狙いもあるのでしょうが。

ZDNN: 訴訟になった際に,そのことは不利な要因になるのでしょうか?

松田: どうなんでしょうね(笑)。ただ,訴訟になったときには,裁判所にきっちりと境界を引いてもらいたい。個人で楽しむ複製とは,どこまでの範囲を指すのか? IMのファイル交換機能で,著作物を交換しても摘発されるのか? P2Pと著作権保護という相反する2つの要素について,折り合いはつけられるのか,司法的判断を仰ぎたいです。

(文中敬称略)

 松田氏は,9月28日付け日経産業新聞の記事が原因で,10月12日にヤフーを依願退職したという。二重就業が問題になったわけだが,日本MMOを潰せば,ヤフーに残る道も残されていたという。だが,松田氏は「日本MMOは,わが子のようなもの」とヤフーを去ることを決めた。現在,日本MMOは,7人の従業員と13人のボランティアによって運営されている。

 ファイルローグは,第2のNapsterになるのか? それとも,P2P時代の著作権保護のあり方を問うサービスとして,何か功績を残せるのだろうか? 松田社長は,「訴訟になったら最高裁まで徹底的に戦う」と決意を露わにした。

関連記事
▼ 「ファイルローグは法に触れない」 日本MMO社長
▼ 「WinMX」にメス──ファイル交換ソフトで逮捕者
▼ ヤフー,「無料ファイル交換とは無関係」
▼ ファイル交換サービス「ファイルローグ」ベータ版公開スタート

関連リンク
▼ ファイルローグ

前のページ1 2 3次のページ

[中村琢磨, ITmedia]