News 2002年2月26日 11:30 PM 更新

JEITA,PC周辺機器の市場規模と需要予測を発表

「IT不況」「テロの影響」というお決まりの言葉と共に,2001年のPC周辺機器の市場規模は減少した。しかしJEITAによれば,2004年に向かって,主力製品が移り変わりつつ成長していくという。

 電子情報技術産業協会(JEITA)は2月26日,ディスプレイ,プリンタ,HDD,光ディスクなどのPC周辺機器の市場規模と需要予測を発表した。

 2001年の市場規模は軒並み減少したが,今後数年間で新技術へのリプレースが進み,全体としては成長を続けていくとJEITAは予測している。

液晶へのリプレースは海外が主戦場に──ディスプレイ

 CRTディスプレイの2001年市場規模は,当初の予測を下回り,液晶ディスプレイに市場を譲る形になった。国内市場で前年比13%,世界市場で33%の減少。逆に液晶ディスプレイは前年比127%増の1534万台と大きな伸びを示した。

 今後もこの傾向は続く。「極端な値上げがない限りは,液晶ディスプレイの需要が失速することは考えられない」(JEITA)。2004年までは順調に伸びていくという予測をJEITAでは示している。ただし国内市場における液晶ディスプレイ需要は一段落しており,「今や主戦場は海外市場」(同)になっているという。


JEITAでは,ディスプレイ市場が金額ベースでも成長を続けるために有効な手段として「ノートPCのセカンドディスプレイとしてのマルチモニタ市場の新規創出」と訴える。写真は,画面サイズ,画面の高さ,画素ピッチなどをノートPCとそろえたセカンドディスプレイ。ただし,現在のところユーザーからのニーズはないという

成長の牽引役はMFP──プリンタ

 プリンタの2001年世界市場規模は,金額ベースでは前年比4%増の5兆1000億円とわずかに伸びた。だが,台数ベースでは8400万台(前年比3%減)に留まっている。

 中でも全台数の70%以上を占めるインクジェットプリンタが,台数ベースで前年比5%減の6040万台と,「(昭和47年の)調査開始以来初めてのマイナス成長」(JEITA)になった。明るい材料は,MPF(複合機)が831万台(15%増),2兆3507億円(24%増)と大きな伸びを示したことだ。

 今後はインクジェットプリンタが復調すると共に,MFPが年平均15%程度で成長。2005年には金額ベースで62%,台数ベースで13%をMFPが占めるとJEITAでは予測している。また「これまでは基本的なプリンタ性能で価格差が生まれていたが,今後は用途と技術方式の特徴によって水平分岐が生まれてくる」(JEITA)としており,各方式はそれぞれメリットを生かしながら堅調に推移すると見ている。

2005年でも車載,情報家電向けは10%以下──HDD

 HDDの2001年市場規模は,世界市場で2%減,国内市場で1%減と共に減少する見通しとなった。今後,「世界市場では2002年以降回復に向かうが,国内市場では2002年まで減少が続き,2003年以降に回復する」とJEITAは予測している。

 今後,ゲーム機や車載機器,情報家電などの新市場が急速に立ち上がることが予想されるが,「2002年で10%程度。2004年でも20%,30%を占めるまでにはならないと見ている」(JEITA)。

2004年,追記書換型DVDがシェア9%に──光ディスク

 光ディスクの2001年世界市場規模は,7%減の1億7600万台と低迷。しかし2002年からは復調し,CD-R/RWの成長が顕著になるとJEITAでは予測する。「2003年にはパソコンの標準光ディスク装置はCD-ROMからCD-R/RWに替わっていく」(JEITA)

 逆にDVD-ROMドライブに関しては,「DVD-ROMとCD-R/RW複合装置の普及による低価格化から,DVD-ROM単体の成長率は2004年以降低下する」と見ている。

 また著しい成長を見せるのが追記書換型DVD。2001年の世界市場では130万台,国内市場では42万台の市場規模だが,2004年には世界市場で1855万台(対2001年比1427%),国内市場で410万台(対2001年比976%)に達すると予測している。

関連記事
▼ 2001年国内電子工業生産は過去最悪のマイナス成長 新規AV機器は好調
▼ 価格破壊の2001年液晶ディスプレイ市場──2002年は解像度に注目
▼ CRTディスプレイが予想を覆す大幅な伸び──2000年の周辺機器出荷実績

関連リンク
▼ 電子情報技術産業協会

[斎藤健二, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.