News 2002年4月18日 04:38 PM 更新

次世代Windowsで家電との融合を目指すMicrosoft(2)

 Microsoftは将来的に,Freestyleを「Media Center PC」と呼ばれるAVネットワーク向けのPC製品に進化させていく。Media Center PCは,デジタルメディアの統合ストレージ,Mira向けのサーバ機能,ポータブルデバイスに対するセキュアなインターネットアクセスゲートウェイ,UPnPを用いた照明や空調などの家電制御,メッセージング機能,非IPデバイスのためのブリッジ機能など,家庭内で必要とされるあらゆるネットワークサービスをサポートするPC。家庭内で常に電源をオンにしたまま,さまざまなアプリケーションのインフラとして動作するものになる。


Freestyleのデモシナリオ

非PCデバイスに対してはリモート機能で

 Pocket PCに対しては.NET技術でFreestyleのリモコン機能を提供するが,一方でデジタルテレビに対してはWindows Terminalの機能を応用し,テレビ画面からPCのFreestyleを操作するスタイルが採られている。いわばテレビ版のMira。テレビにインタラクティブな機能やメディア再生のユーザーインタフェースを搭載するのではなく,すべてPCに集約してしまおうという提案だ。

 また,PCディスプレイに可搬性を持たせたMiraデバイスも,Longhornのリリース時に次世代版への移行が行われるようだ。現在投入が予定されているMiraは,画面描画情報の通信プロトコルにWindows Terminalと共通のRDPを利用している。このため,動画再生のクオリティは低いままで,高品質なAVストリーム再生や無線LANでの帯域保証といった要素が抜け落ちている。近く登場すると見られている初期のMiraは,Windows XPとのシンプルな接続性を持つタブレット付きターミナルと考えていい。しかし,Longhornではこの機能が拡張され,AVストリームの送受信に対応し,テレビチューナーのサポートなども行われる。

 今すぐに対応できない理由は,PC中心のネットワークでAVストリームを,簡単かつシームレスに扱う技術が完全には確立されていないため。Microsoftは今後の課題として,802.11ベースでの帯域保証技術,複数ストリームに対する帯域保証の手法,イーサネットとIEEE 1394の互換性確保などを挙げている。


SOTECのロゴが入ったTrigem製のMira試作機

 また家庭内を完全にカバーできるシームレスなネットワークを構築するため,さまざまなネットワークを仲介するインテリジェントなブリッジ機能の必要性も訴えている。例えばIP非対応のデバイスをUPnPベースのネットワークに参加させるために,ポイントブリッジが代理でUPnPクライアントとして応答・中継。また無線LAN非対応デバイスに対して,ワイヤレスで別の場所にあるデバイスと接続する仲介役になる,といった具合だ。

 また,Windows Mediaで採用しているデジタル著作権管理技術を機能アップさせ,使用権の確認を単一のサーバとなる機器に仲介させる仕組みを提供する予定。この機能を利用すれば,複数の著作権管理サーバをまたがって分散する,著作権とその使用権に関する情報を単一の問い合わせ先に集約できる。これによりクライアント側の処理を簡略化し,エンドユーザー側の視点で見たときの複雑性を排除できる。

 そして,これら開発に取り組んでいる要素が完成し,ひとつにまとまる先がLonghornになる。

PC上のAV品質を向上させるCorona

 Microsoftはこうしたネットワークインフラに関する取り組みとは別に,PCで扱えるAVストリームの品質向上にも取り組んでいる。その1つがコードネームでCoronaと呼ばれている次世代のWindows Media技術だ。Coronaはハイビットレートで高品質のビデオやマルチチャンネルのオーディオを扱うための拡張コーデック(CODEC)で,Windows XPに対する追加機能として提供される。

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[本田雅一,ITmedia]