News | 2002年8月12日 06:31 PM 更新 |
400点満点中379点というハイスコアで予選を1位通過し、今大会の優勝候補筆頭という下馬評だった吉村浩一氏の「R-Blue IV」と、同じく予選4位だった森永英一郎氏の「Metalic Fighter」との注目の一戦だ。
双方のロボットの“できの良さ”から「実質の決勝戦」とまで言われたこの対戦。見た目は、足が長くスマートなR-Blue IVが“バルキリー(バトロイド形態)タイプ”、ブリキ玩具的なビス止めがボディ全体のアクセントになっているMetalic Fighterは重厚な“ズゴックタイプ(色はゴックっぽい)”といったところ。どちらも、ロボット好きにはたまらないデザインに仕上がっている。
試合の方は、お互いに何度かダウンを奪うものの、その“起き上がり機構”によって結局最終ラウンドまで勝負がつかず、勝敗は5人の審査員による判定へ。ダウンを奪った数で勝ったMetalic Fighterが決勝へコマを進め、R-Blue IVはベスト4で涙をのんだ。
壮絶なバトルの決勝戦
Metalic Fighterとともに決勝戦に勝ち上ってきたのは、前述の巨大ロボットHSWR-01だ。起き上がり機構を持つ“ダウン知らずの不死鳥”Metalic Fighterに対して、HSWR-01はその巨体を起こす術を知らない。しかしHSWR-01には、そのウエイトを効かせた強烈な左右のパンチと、機敏でバランス感覚に優れた機動力がある。まさに決勝戦に相応しい対戦となった。
全長36センチと、HSWR-01の半分ほどの背たけのMetalic Fighterだが、HSWR-01のヘビー級パンチがちょうど顔面あたりにヒットする高さになってしまう。ダウンしても起き上がれるとはいえ、一発食らえばダメージは大きい。操作する中村氏もそれを狙ってか、開始のゴングと同時にHSWR-01の豪腕がうなった。
だが、HSWR-01以上に機敏に動けるMetalic Fighterは、その小柄なボディのフットワークを存分に発揮。スウェイや屈伸で、HSWR-01の腰が入ったパンチをことごとくかわしていく。今回からROBO-ONEの参加規程に加わった屈伸運動が、戦闘時の動きのバリエーションを増やしているのがよく分かる試合になった。
HSWR-01は容赦なくパンチを繰り出すがヒットせず、むなしく空を切るのみ。そして攻撃時に生じる一瞬のスキをMetalic Fighterは見逃さなかった。HSWR-01のふところに飛び込み、一気に押し倒してダウンを奪取。起き上がりシステムを持たないHSWR-01は、そのまま天を仰ぐしかなかった。
このダウンで有利に立ったMetalic Fighterは、次のラウンドの開始前に片足バランスの動作を見せ、相手を挑発する余裕も。HSWR-01は前回のダウンで制御系統に異常をきたし、最終ラウンドでは開始早々、自ら倒れてしまった。このあたりは、重量級ロボットの宿命といったところか。
こうして第2回ROBO-ONE大会は、Metalic Fighterが優勝の栄誉に輝いた。優勝者の森永氏には賞金100万円と、協賛企業のオートデスクから総額260万円相当のCADソフトが贈られた。
ROBO-ONEの審査員を務めた西村ロボットクラブ代表の西村輝一氏は「来年の2月1−2日に第3回のROBO-ONE国内大会を実施。同じ年の2月末か3月には、韓国のソウルでアジア大会を開催し、日本国内のベスト8ぐらいまでを招待する予定だ。そして、来年夏頃には世界大会ができるよう準備している。近い将来には空飛ぶロボットも実現するだろう。2010年には“ROBO-ONE IN THE SPACE”ということで宇宙大会も開催したい」と今後の同大会の可能性を語った。
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[西坂真人, ITmedia]
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