News | 2002年11月25日 01:29 PM 更新 |
Microsoftが来年夏前後にリリース予定のOffice 11。大幅な改善点の3つ目は、グループワークにおける作業性向上のための機能だ(改善点その1、改善点その2)。
これらの機能は現行のFrontPage 2002に付加機能として提供されていたSharePoint Team Serviceの次期バージョンSharePoint Team Service 2.0(STS 2.0)を介して行われる。STS 2.0は従来のOfficeユーザー向け、簡易Webコラボレーションの枠を超え、Office 11の機能と深く結びついたOfficeユーザー必須とも言えるサービスとなる。
STS 2.0のアウトライン
従来のSTSはIIS上で動作するWebサービスで、ボトムアップ志向のワークグループポータル構築ツールとして提供されていた。そのルーツはOffice 2000に用意されていたOWS(Office Workgroup Server)だが、管理性の低さを除けばIBM/LotusのQuickPlaceにも似た即席のワークグループポータル構築を行える手軽さと、文書管理からグループスケジュール、タスク管理、掲示板機能など高い機能性を持っている。
先日、日本独自のプロダクトとしてOfficeのユーザーに無償配布されたGroupBoard 2.0は、STSをベースにExchange Web Accessと連携させることでメッセージング機能を統合したワークグループポータルを構築する試みだった。
STS 2.0ではSTS 1.0の要素を引き継ぎつつ、サムネイル表示可能な画像管理機能、Windows Messengerと連携したユーザーアウェアネス機能などが追加され、さらにより多くのユーザーをサポートできるスケーラビリティを備えている。
Microsoftの関係者によると、元々、STS 2.0は複数ユーザーがOfficeをネットワークサービス経由でコラボレーションする機能を提供するため、Microsoft自身でホスティングすることを念頭に開発されたものだとのことだ。翻って言えば、それだけ多くの同時ユーザーをサポートできるだけのサーバ側の設計が行われている。
STS 2.0はWindows.NET Server上でのみ動作し(Windows.NET Server固有の機能を利用するため、クライアントOSやWindows 2000 Serverでは動作しない)、エンドユーザー向けにサーバモジュールが何らかの手段で安価に提供されるほか、小規模事業者向けにサードベンダーによるホスティングサービスも本格的に行われるという。
ここまでなら、STS 1.0のスケーラビリティと機能をアップさせたものという単純な結論になるが、STS 2.0は非常に密接にOffice 11と連携する機能を有している。ユーザーはSTSが作り出すWebポータルをほとんど意識することなく、Officeアプリケーションだけでコラボレーション作業を進めることができるのだ。
文書を中心にして自動的に立ち上がるワークグループポータル
STS 2.0は意図的に立ち上げるワークグループポータルを作成できるほか、文書を中心にしたブランチポータルをOfficeとの連携で自動生成する機能がある。STS 1.0にも、ポータルの下に別のポータルを構築するサブWebという機能があったが、STS 2.0にも同様の機能が提供されており、従来と同じ手法で手動作成できる。さらに加えて、Officeアプリケーションを運用する上でポータルの存在を意識することなくサブWebを利用できるのである。
例えば、あるプロジェクトの草案を関連するメンバーにメール添付して送信すると、通常はそれぞれのユーザーに文書のコピーが配布される形になる。しかしOffice 11ではメール送信する際に文書ファイルを直接添付するのではなく、新たに文書と同じ名前でサブWebを作成し、その文書ライブラリに自動アップデート。メールには文書コピーの代わりに、サブWebに登録された文書へのリンクが送信される(これをライブアタッチメントという)。
このとき、サブWebは送信元と送信先全員に適切なアクセス権が自動設定される。つまり、プロジェクト草案を起案して、それをそのプロジェクトに関連する全員にライブアタッチメントで送信すれば、ユーザーが特に意識することなくバックグラウンドでサブWebが作られ、共通ポータルを介してのコラボレーション作業が可能になる。
[本田雅一, ITmedia]
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