News | 2002年12月10日 06:25 PM 更新 |
各レコード会社で導入が始まったコピーコントロールCD(CCCD)。ユーザーの立場から見るとどうしても、音質面に関心がいってしまう。
今回話を伺ったビクターエンタテインメントでも、エンコードK2(以下、ENC K2)の導入を機にCCCDの導入が始まった。では、その“音”はどうだったのだろうか。
「コピーコントロール“だから”音が悪くなるとは思っていない。今回は、どうしてもコピーコントロールの方に話が行きがちになるんですが……」(ビクター AV&マルチメディアカンパニー AVM商品開発研究所 主任技師 桑岡俊治氏)と苦笑いする。
同氏によれば、CCCDは、数ある音質変化要因の“1つ”でしかないともいう。「最近では、EFMのフォーマットエンコーダの部分がPCのソフトウェア構成になるなど、これからもどんどん機能が変化していきます。このため、クオリティが高いものが崩される“要因”が、どうにも膨れ上がっています。その1つにコピーコントロールが入っただけで、コピーコントロールが音が悪いから、ENC K2を導入したわけでは全くありません」(桑岡氏)。
そう言われれば、確かにそうだ。音楽CDは、電源環境、ケーブル、メディアそのものの物理的な品質、試聴環境……などによって大きく変化する。その上、「音が悪いプレスCD」は、粗悪なCD-Rメディアを作るのが簡単なように、CCCDと全く関係ない部分で簡単に作れてしまう。つまり、CCCDと音質劣化は必ずしもイコールではない。音楽CDでは、音質変化する要因があまりにもたくさんあるのだ。
だからこそ、ビクター/ビクターエンタテイメントでは、音質を少しでもマスターに近づけるためにマスターダイレクト構想を掲げ、音質向上を図っているわけだ。
実際、ビクタースタジオ長の高田英男氏(ビクターエンタテインメント ソフト技術部長)によれば、従来の方法で作成したCDとENC K2+CCCDで作成されたプレスCDの音を聞き比べると、「マスターテープにどちらが近いかというと、ENC K2+CCCDのほうが近いんです」という。
筆者も取材時にマスターテープ、ENC K2+CCCD、従来の方法で作成されたノーマルの音楽CDの3つを試聴させていただいたが、基準となるマスターテープの音質に近かったのは、明らかに「ENC K2+CCCD」の方だった。
高田氏はこれを当然の結果と話す。「ENC K2とコピーコントロールシステムを含め、システムとしてトータルで音を詰めましたから、そういう意味からすればクオリティがあがって“当然”。制作の方、アーティストの方、プロデューサーの方にも全く同じ条件で実験してもらいましたが、だいたいそういう感触を頂いています。コピーコントロール処理されてこれです。非常にマスターに近いんじゃないかなと思っています」(高田氏)。
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