News 2003年1月10日 02:55 AM 更新

Gates氏、「SPOT」を語る――CES基調講演

「International CES」で基調講演を行ったBill Gates氏は、COMDEXでの“公約”通り、ネットワーク対応の小型デバイス「SPOT」の詳細について語った。また、Windows Media対応のポータブルメディアデバイス「Media2Go」などもアナウンスした

 米ラスベガスにおいて、家電製品の総合展示会「International CES」が始まった。航空機自爆テロの影響で来場者が伸びなかった昨年とは異なり、今年は最盛期のCOMDEX/Fallを上回る規模に達している。

 そんなCESの基調講演でトップバッターを務めたのは、COMDEX/Fallと同じBill Gates氏である。Gates氏の講演は、基本的に昨年のCOMDEX/Fallを踏襲したものであったが、話題の中心はもちろんPCではなく、Gates氏がSmart Deviceと呼ぶ一連のネットワーク対応デバイスである。


 Smart Deviceには、たとえば昨年のCESでGates氏がコードネーム「Mira」として紹介したSmart DisplayやPocketPC、Smart Phoneなどが含まれる。基調講演脇には、そのほかにもWindows CE.NET採用のミシン(600以上のステッチパターンを使いこなし、ネットで型紙をダウンロードして作り方を表示、ミシンの設定を半自動的に行うなどのネットサービスと統合されているらしい)や、ゲーム感覚でエクササイズを楽しめるエアロバイクなどもあった。


CESで展示予定のSmart Displayが並ぶ


CE内蔵のネット対応ミシン。USBなどの装備もある

 しかし今回の注目株はと言えば、COMDEX/Fallで発表され、CESで詳細について説明すると話していたSPOTに違いない。SPOTとはSmart Personal Object Technologyのこと。SPOTは小型のネットワーク対応デバイスで、ネット経由でWebサービスを受けるための最小単位になるとアナウンスされていた。

 SPOTはJava対応デバイスのように、コンパクトなアプリケーションを共通化されたバイトコードでダウンロードし、ネットワーク経由で様々な情報を受信、ユーザー向けインフォメーションの出入り口として利用する技術である。Gates氏によると「パーソナライズが可能であることは、SPOTの重要なポイント」と話す。というのも、SPOTはユーザーが使いこなす類の機械ではなく、必要な最新情報を常に持ち、必要なときに参照するためのデバイスだからである。


SUUNTOのSPOTを手にするGates氏。シアトルの渋滞情報をいつも受信しているとか


SPOTのアプリケーション一覧。Webから利用するサービスをパーソナライズする

 ユーザーはWebブラウザからSPOTのWebサービスにアクセスし、SPOTで利用できるアプリケーションを選択、カスタマイズしておくと、自動的にワイヤレスでSPOTの中に最新情報が送り込まれる。

 例えばニュース、天気予報、渋滞情報、試合結果、インスタントメッセージ(受信のみ)、スケジュールなどのインフォメーションが、ネットに接続できるタイミングで自動的にSPOTの中に入ってくるのだ。もちろん、ユーザー自身が選んだ条件に従ってである。

 メッセージの配信は「Microsoft DirectBand」と名付けられた技術が用いられるが、これはFM放送を用いてデジタルデータを暗号化し、セキュアに配布するためのプロトコルだ。基調講演の中ではFM放送のサブキャリアを用いているのか、米国で始まろうとしている地上派デジタルFM放送を用いたものなのかはわからなかったが「すでに存在するインフラを用いてサービスを受けられる」(Gates氏)点が重要。同時に米国での配信パートナーも発表されていた。

 またSPOTのハードウェアは非常にシンプルだが、「初代IBM PCの数倍の能力(Gates氏)」があるという。SPOTの技術パートナーとして、National Semiconductorがチップを提供することがすでに発表されていたが、そのチップには25MHzのARMコアと512Kバイトのメモリが統合されている。

 次にSPOTのフォームファクタだが、時計への組み込みを中心に考えているようだ。将来的にはSPOTが他分野でも利用されていくことになるだろうが、当初は腕時計を中心とした製品で採用される。製造パートナーはFOSSIL、SUUNTOに加え、日本のシチズンもSPOT対応デバイスを提供する。


腕時計型のSPOT


製造パートナーには3社が名乗りを挙げた

 SPOTの出荷準備はすでに進められており、来月には米国でテスト販売が行われ、今秋には正式サービスとともに全米で出荷されることになる。Gates氏は以前から「指先に情報を」というコンセプトを繰り返し話してきたが、SPOTはそれを具現化するための第一歩と言えそうだ。

 またGates氏は基調講演の中で「Media2Go」という製品もアナウンスした。Media2GoはWindows Mediaに対応するビデオ再生・録画、音楽再生・録音などの機能を統合した小型デバイス。20Gバイトの小型ハードディスクを内蔵する。製品化は2004年になる見込みだ。


Media2GoとCE.NETデバイス群

 このほか、Polaroid製のWindows Media Videoが再生可能なDVDプレーヤー、松下電器産業のHigh M.A.T対応DVDプレーヤー、マイクロソフトのSmart Phoneプラットフォームが従来のGSMに加えてCDMAにも対応したことなどが発表されている。



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[本田雅一, ITmedia]

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