News 2003年2月4日 09:25 PM 更新

“世界最小・最軽量”の秘密は「上下2段収納のレンズ機構」――オプティオ S

ペンタックスがコンパクトデジカメ「オプティオ S」を発表。光学3倍ズームレンズ搭載機種としては世界最小・最軽量となる小型ボディには、多群多枚レンズの沈胴式ズーム機構を薄くする画期的な光学システムや、高密度実装技術「MCM(Multi-Chip Module)」など最新テクノロジーが盛り込まれている

 ペンタックスは2月4日、デジタルカメラの新製品「オプティオ S」を発表した。「光学3倍ズームレンズ搭載機種としては世界最小・最軽量」(同社)という。価格は6万5000円で3月15日から発売する。


光学3倍ズームで世界最小・最軽量の「オプティオ S」

 軽量・コンパクトなオプティオ Sは、大きさが83(幅)×52(高さ)×20(厚さ)ミリで重さが98グラム(本体のみ)。特筆すべきは、厚さがわずか20ミリしかないこの名刺サイズボディに、沈胴式の光学3倍ズーム機構を搭載した点だ。


わずか20ミリの厚さに沈胴式の光学3倍ズーム機構を搭載

 コンパクトデジカメの小型レンズでズーム時に歪みのない高画質な画像を得るためには、レンズ構成を多群多枚にする必要がある。今回のオプティオ Sも、5群6枚というレンズ構成を採用している。だが、このような多群多枚レンズではどうしてもレンズ群が厚くなってしまい、ボディ内に鏡筒を収納する沈胴式ズーム機構のデジカメでは、本体の薄型化に限界があった。

 多群多枚レンズの沈胴式ズーム機構をいかに薄くするか。この難題を同社は画期的な光学システムで解決した。その仕組みはこうだ。

 従来、沈胴式ズームレンズの薄型化は、沈胴時に光軸上のレンズ群の間隔をできるだけ詰めて収納するぐらいしかなかった。だが、これではレンズ群の厚さで本体の厚さも決まってしまう。そこで同社は、沈胴する時に中央部のレンズ群が光軸上から外れて上部に格納され、前群・後群と上下2段にして収納する「スライディング・レンズ・システム」機構を新たに開発した。「レンズをずらして収納するスライディング・レンズ・システムだけで約30件の特許を出願している」(同社)。


スライディング・レンズ・システムの仕組み。沈胴時に中央部のレンズ群が光軸上から外れて上部に格納される

 世界最小・最軽量に貢献しているもう1つの最新テクノロジーが、CPU/ASIC/SDRAM/フラッシュメモリを一体化した高密度実装技術「MCM(Multi-Chip Module)」だ。

 「MCMにより、昨年世界最小クラスだったオプティオ330RSと比べて、LSI基板面積を約43%減らすことができた。デジカメ内部の半分以上は、レンズとLSI基板で占められている。この2つの構成部品を新開発技術で小型化することで、光学3倍ズーム搭載で世界最小・最軽量を可能にした」(同社)。

 コンパクトボディながらも、1.6型の液晶ディスプレイや光学ファインダ、フラッシュなどデジカメの基本機能はしっかりと搭載。記録メディアはSDメモリーカードを使うが、それとは別に11Mバイトのフラッシュメモリを本体に内蔵しており、メモリカードが無くても撮影が可能。任意でインデックスを付加できる本格的なボイスレコーダー機能も備えた。


オプティオ Sの背面

 ズームレンズは、同社銀塩一眼レフカメラの交換レンズにも採用されている「smc(スーパーマルチコート) PENTAX LENS」を使用。1/2.5型有効320万画素CCDと、銀塩カメラで培ったノウハウを生かした高度な画像処理などによって、高精細で高画質な撮影が行えるという。また、新設計の画像処理回路やファームウェアの見直しなどで、シャッターチャンスに強い高速なレリースタイムラグ(約0.01秒)を実現した。


ズームレンズは「smc PENTAX LENS」を使用

 「デジカメは当社が掲げる3つの重点事業の1つ。現在の当社デジカメシェアはわずか2%で、まだデジカメ競争の土俵にすら上がっていない。2003年度は10機種以上のデジカメを市場に投入する予定。これで5%以上のシェア獲得を目指す。併せて広告展開などPR活動も積極的に行い、“デジタルカメラのペンタックス”を強くアピールしていく」(同社)。

オプティオ SとEXILIM ZOOMは兄弟機

 光学3倍ズーム搭載の軽量薄型コンパクト機といえば、最近話題となっているカシオ計算機のEXILIM ZOOMが頭に浮かぶ。実際、オプティオ Sの新技術やスペックなどを見比べると、EXILIM ZOOMとよく似ている。

 実は、今回の新製品に搭載されたMCMなどLSI関連は、カシオが開発したものなのだ。逆にEXILIM ZOOMの沈胴式ズームレンズには、スライディング・レンズ・システムを採用したペンタックスのレンズユニットが使われている。このように両社の得意分野を生かした新技術を持ち寄ることで、薄型・軽量でコンパクトな光学3倍ズームデジカメが完成したというわけだ。

 「ペンタックスとカシオは、以前からデジカメ分野で協力関係を築いてきた。例えば、QV10以降のカシオのデジカメレンズユニットは、当社製を多く採用してもらっている。カシオは高密度実装技術など当社に無い優れた技術を多く有する。また、われわれも光学系分野で多くのノウハウを持つ。チャンスがあれば、今後もお互いの得意分野を持ち寄って協業していきたい」(同社)。

 だがキーテクノロジーを共有する兄弟機とはいえ、オプティオ SとEXILIM ZOOMは細かな所で仕様が異なっている。

 まずサイズでは、幅/高さ/厚さ/重さと、すべての点でオプティオ Sの方が小さくなっている。一方、液晶ディスプレイはオプティオ Sの1.6型に対してEXILIM ZOOMは2型と大型のものを採用している。内蔵アプリケーションやインタフェースなどもまったく別物だ。またEXILIM ZOOMには、PC接続のほか単体でフォトスタンドとしても使える充電器兼用のクレードルが標準で付いてくるが、オプティオ Sにはこのようなクレードルは用意されていない。

 実売予想価格では、両機種とも5万円前後と同じ価格帯になりそうだ。「世界最小・最軽量」のオプティオ Sを選ぶか、「大画面&クレードル&多彩な機能」のEXILIM ZOOMにするか。ウェアラブルデジカメを求めるユーザーには、またうれしい悩みが増えた。



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[西坂真人, ITmedia]

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