News 2003年2月7日 11:59 PM 更新

“とんがった”メディアを目指す「メモリースティックPRO」

2003 International CESでデビューした「メモリースティックPRO」。ギガクラス超の大容量化や動画が扱える高速データ転送などが注目されているが、この新メディアが目指す将来像とは?担当者に聞いた

 今年1月の「2003 International CES」でソニーが発表した新メモリースティック「メモリースティックPRO」。ギガクラス超の大容量化や、動画が扱える高速データ転送が注目されている。メモリースティックPROが目指すものは、どんなメディアなのだろうか。メモリースティック事業センタープロモーション企画グループ担当部長の佐藤亮治氏に話しを聞いた。


メモリースティック事業センタープロモーション企画グループ担当部長の佐藤亮治氏

最初から“とんがって”いたメモリースティック

 「メモリースティックPROは、“とんがった”メディアにしたいですね」――。新メディアが目指す将来像について、佐藤氏はこう語る。

 1998年に初めてメモリースティックが登場した時、5−10年後を見据えたそのコンセプトは、やはり“とんがって”いた。

 当時の小型メモリカード市場は、すでにコンパクトフラッシュ/スマートメディア/MMCなどがあり、それぞれ登場から数年経過していた。これら先行メディアの用途の多くが、デジカメの画像を記録する“デジタルフィルム”だったのに対して、メモリースティックは、フラッシュメモリという“枯れた技術”を使いながらも、目指したのは単なるデジカメの記録媒体ではなかった。

 「近い将来、あらゆるコンテンツが必ずデジタル化される。そのきたるべき時代に向け、さまざまな機器で使える汎用性を持ち、ネットワークでつながるメディアにしていこうというのが、開発当初にメモリースティックが目指したもの。今でこそネットワークや汎用性を前提とした取り組みは当たり前となっているが、当時はiLink(IEEE1394)やUSB2.0も無かった。その時代に、PCやデジカメなどIT分野だけでなく、AV機器/携帯電話/自動車(カーAV)でも使えるようにし、マジックゲートなど著作権保護機能までも視野に入れていたメモリースティックは、当初から“とんがった”メディアだった」(佐藤氏)。

動画が扱える高速データ転送とギガクラス超の大容量化を実現

 “とんがった”血筋を引くメモリースティックPROは、当然5−10年先を見据えた仕様となっている。


“とんがった”血筋を引くメモリースティックPRO

 まず、現行のメモリースティックで採用されているシリアル転送に加えて、複数のビット情報を同時に送受信できるパラレル転送が行えるようになった。それによって、最大転送速度は従来のメモリースティックの約8倍となる160Mbps(理論値)という高速化を実現している。

 「だが、メモリースティックPROで注目してもらいたいのは、むしろミニマムの書き込みスピード。今のデジタルカメラは大容量のバッファメモリを持ってフラッシュメモリの書き込み速度の遅さをフォローするため、静止画を撮影する上では高速データ転送はあまり必要としない。本当に重要なのは、バッファメモリがつかえない動画のような巨大ファイルの記録。DVD品質レベル(9Mbps)のMPEG-2ファイルを記録するには、リアルタイムで書き込まなければならない。メモリースティックPROでは、規格として最低書き込み速度を15Mbpsと定めており、DVD並の動画をリアルタイムに記録・再生できる」(佐藤氏)。


CESの同社ブースでも行われた動画再生のデモ。メモリースティックPROに記録されたDVDコンテンツは、コマ落ちなく再生

 さらに、通常のデータを保存するユーザー領域に加えてシステムファイル領域を設置。動画記録中に一定間隔で管理データを記録することで、記録中のメディアの取り出しや突然の電源切れなどが発生した場合でも、記録データの喪失を最低限に抑えることができる。

 また、新たにフラッシュメモリの高密度積層構造を採用することで大容量化を実現。その最大容量は32Gバイトと規定されている。

 「32Gバイトというリミットは、メモリースティックPRO側のハード的な制約ではなく、FAT32方式でのフォーマットの上限に起因する。フラッシュメモリの積層技術の進歩で大容量化が続く限り、理論的には何十、何百Gバイトでも搭載可能」(佐藤氏)。

 なお、一部報道では「メモリースティックPROは高速で大容量だが、従来製品との互換性はない」と報じられているがこれは正確ではない。例えばサイバーショットの一部機種(DSC-F77/DSC-FX77/DSC-F717)やデジタルフォトプリンタ(DPP-EX5/DPP-EX7)などは、メモリースティックPROがそのまま使える(マジックゲート機能は非対応)。またバイオシリーズやClieの一部機種では、アップデートソフトウェアによってメモリースティックPROの読み書きが行えるようになる(詳しくはメモリースティックPRO動作機種一覧を参照)。

セキュリティの重要性に対応する「アクセスコントロール機能」

 高速データ転送によって動画のようなリッチコンテンツを扱えるようになったり、大容量化によって膨大な情報をスティック状のメディア1枚で持ち歩けるようになると、“セキュリティ”がこれまでにも増して重要になってくる。

 それに対してのソニーの答えが、専用ハードウェアによってメディアへのアクセスを制御する「アクセスコントロール機能」だ。メモリースティックPROを専用の「アクセスコントローラー」に挿入してスイッチのオン/オフを切り替えるだけで、ユーザーが簡単にメディアに“鍵”をかけることができる。


メモリースティックPROのアクセスを制御できる専用のハードウェア「アクセスコントローラー」

 「これはマジックゲートのセキュリティ機能を活用したシステム。暗号化された“鍵”を使って、メディアそのものにロックをかける。この“鍵”はアクセスコントローラー同士で共有できるため、コントローラーを持ったグループ内だけでメモリースティックPROを共用するといった使い方もできる。このようなセキュリティ機能は、リムーバブルメディアでは初」(佐藤氏)。

 この方式は、マスターキーをどこで管理するかが重要になる。「例えばアクセスコントローラーが壊れたり故障した時に、ロックを解除できなくなっては困る。一般ユーザー向けにはソニー側でマスターキーを管理することになるだろう。また、利用者の多い企業などでは、別の管理方法も考えなければならない。いずれにしてもアクセスコントロール機能はサービスの構築が必要になる。現在、多方面から意見を聞いて検討し、システム作りを行っている」(佐藤氏)。

 「セキュアなコンテンツも、そうでないものも、気にせず気軽にメモリースティックPROに入れて持ち出し、携帯電話やPDA、他人のPC、キオスク端末、飛行機の座席、ホテルの部屋など、どこでもスロットがあれば挿入してさまざまな情報を気軽に楽しむ。今まではハードウェアを持ち歩かなければいけなかったものが、コンテンツだけ持ち出せばよくなる。メモリースティックPROは、ブリーフケースみたいなもの。ユニバーサルに使え、さらに拡張性も豊かなメディアに育てたい」(佐藤氏)。



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関連リンク
▼ メモリースティック公式サイト
▼ ソニー

[西坂真人, ITmedia]

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