News | 2003年2月20日 10:09 AM 更新 |
Intelが主催する開発者向け会議「Intel Developer Forum Spring 2003」の2日目、“Client Day”と銘打たれた19日は、ノートPC、携帯電話・PDA、デスクトップPC、それぞれのクライアント製品分野において、Intelのエグゼクティブが今年から来年にかけて投入予定の新技術について講演を行った。
トップバッターを務めたのは、モバイルマーケティンググループジェネラルマネージャー、Anand Chandrasekher副社長。同部門は来月中旬、かつては“Banias”と呼ばれていたモバイル向け新プロセッサ「Pentium-M」と、そのプラットフォーム技術である「Centrino」をリリース予定だ。
同氏の話の中心も当然、そのこと。Pentium-M、i855チップセット、Intel PRO/Wireless 2100チップの組み合わせで構成するCentrinoのアドバンテージについて話したほか、ソフトウェアの重要性についても言及。オフラインでもオンライン時と同じように仕事ができる環境やセキュアな接続性を実現するソフトウェアを開発、提供していくとした。
基調講演で行われたデモでは、1.6GHzのCentrinoマシンが2.4GHzのモバイルPentium 4-Mマシンよりも高速で、かつモバイルPentium III-Mよりも消費電力が少ないことをアピール。ハイパフォーマンスながら、6セル48ワットのバッテリーで、14.1インチディスプレイ搭載のノートPCでも5時間のバッテリー持続時間が実現可能だという。
またインターネット接続プロバイダと協力し、ワイヤレスアクセス環境の整備に投資を行っていく方針を明らかにしている。日本のYahoo BBやNTT Comunicationsをはじめとする世界中のISPと協力し、Centrinoに搭載されるアクセスソフトウェアを用いて、協力ISPのホットスポットに簡単に接続できる体制を整える。協力ベンダーには航空機ベンダーのBoeingも含まれ、航空機内からのインターネットアクセスも可能にしていく予定だ。
なお、Pentium-Mは通常電圧版が1.3GHzから最高1.6GHz、低電圧版が1.1GHz、超低電圧版が900MHzで動作することも、今回のIDFで正式にアナウンスされた。
一方、PCAコンポーネントジェネラルマネージャ兼副社長のGadi Singer氏は、XScaleベースの携帯電話向けチップについて話した。話題の中心は先週発表されたManitobaことPXA800F。プロセッサ、メモリ、通信機能を統合することで、ハイパフォーマンスと省電力を同時に実現したという。Intelは携帯電話の高機能化を見据えて、今後も携帯電話向けチップに様々な構成要素を統合していくという。
最後に登場したデスクトッププラットフォームグループジェネラルマネージャ兼副社長のLouis Burns氏だ。同氏は年末にむけて登場予定のPrescottが、300ミリウェハーによる生産効率の向上により、高性能と低価格を同時に実現すると予告。
Prescottと同時にリリースされることが予想されている新チップセットCanterwoodとSpringdaleの仕様についても簡単に触れた。両チップセットは800MHzのフロントサイドバスに対応。AGP8x、デュアルチャネルDDR400(SpringdaleはDDR333もサポート)、シリアルATA、ソフトウェアRAID、ギガビットイーサネットなどの機能をサポートする。
また次世代オーディオアーキテクチャとして、「Azalia」と呼ばれる技術を開発し、標準技術として提供していくという。Azaliaはエンターテイメントとビジネス、両分野で有効な次世代オーディオ技術。
エンターテイメントの分野ではDVD-Audio、SACDといった高品質音楽メディア、マルチチャンネルのオーディオストリーム、ドルビーデジタルなどの再生が可能で、THXサラウンドEXに対応する。ビジネスの分野では高品質な音声認識、会議、インターネット電話を実現することができるという。
IntelはAzaliaの技術をIntel製品向けの標準技術として各コンポーネントベンダーに提供していく。年内にはスペックをリリースし、来年にも対応する最初の製品が登場する見込み。最初の対応製品はAnalog DevicesのSoundMAXシリーズになるようだ。
[本田雅一, ITmedia]
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