News 2003年4月9日 06:14 PM 更新

レスキューロボットの使命〜ロボットが世界を救う(2/4)


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 「足」は、既に地雷がないとわかったところに下ろすようにするのはもちろんだが、万が一地雷を踏んで、足が1本壊れてしまっても、残りの足で帰ってくることができる。


地雷探査ロボットCOMET-III。約1トン

 現在、地雷除去作業は、人手によって行われているのだが、危険である上に極度の緊張を強いるもので、1日かかってタタミ一畳の範囲を処理するのがやっとなのだそうだ。ロボットを使えば、この1000倍もの速度で探査ができるという。

 磯崎氏は、三菱重工業が開発した遠隔・点検ロボット「MARS-i」を紹介した。このロボットの開発は、1999年9月の東海村のJCO事故(日本で最初の臨界事故)がきっかけになっている。

 この事故後、国は「原子力災害用のロボット開発プロジェクト」を立ち上げ、三菱重工業もそれに参画しMARS-A、MARS-Tの2台のロボットを開発した。これは、重さが400キロもあるような非常に大きなもので、簡単に運べるものではない。もっとシンプルにして小型にならないのかというリクエストも多かった。

 そこで、開発されたのがMARS-iだ。これは、機能は絞ったけれど、幅40×長さ160×高さ55センチで80キロと小型軽量になったと同時に、原子力災害以外の災害にも使えるよう汎用性も持たせたものである(三菱重工神戸造船所は、もちろん阪神・淡路大震災を経験している)。


MARS-i。プレゼンテーションのスクリーンより
ムービーはこちら(1.6Mバイト)

 MARS-iは屋内で使うことが前提であり、階段や段差の走向、踊り場のような狭い空間での方向転換ができる(このとき、折りたたまれた形に変型して長さは78センチになる)。また、通信にはPHSを使うことで、混信にも強くした。

 機能は目視に限定。パン(左右)±200度、チルト(上下)±90度、最高1.8メートルの高さにあげられるカメラの画像を送るのが目的だ。PHSの狭い伝送幅で効率よく画像を送るために、移動時にはモノクロ低解像度でリアルタイム性を優先、停止時にはカラー高解像度で画質優先という切り替えができるようになっている。

 後半は、田所氏の司会によるトークセッション。

田所:最近、(人道的な分野のロボットの)研究がいろいろ進められています。だけど、私が野波先生を尊敬しているのは、地雷除去の研究というものをうまく立ち上げることができたということ。どうやったんだろうと、不思議でしょうがないのですが、さしつかえのない範囲でご苦労などを教えていただけますでしょうか。

野波:私がこの研究を始めたのは、1996-7年のことです。地雷はご承知のとおり「兵器」ですので、それを除去する機械というのもやはり「兵器」になりますよね。ということで、当時、それはちょっと大学の研究ではできないということだったんです。

 それが、1997年の12月に、小渕外務大臣(当時)が、オタワで「地雷除去について日本は国際貢献します」と明言された。それから、地雷除去に関してオープンに研究開発ができるようになったんです。

 日本にはロボットの研究者はたくさんいらっしゃるのですが、意外にこの研究は少なくて。かつては、地雷の構造というものがよく分からないという特殊性のために、なかなか手が出せないということもあったのですが、最近ではジェーン年鑑とか、インターネットを通じていろんな情報が入って来るようになった。そこで、1998年ぐらいから実際の製作に入ったんです。

 ところが、ロボットの製作には非常にお金がかかるんですけれど、資金がない。いろいろ研究の申請をしても不採択で、科学研究費もほとんどだめですし。そこで、日本機械学会の中に地雷に関する研究会を作り、さらに、日本学術会議のなかに委員会を作りました。これは、いま、東京電機大学にいらっしゃる古田勝久先生にお骨折りいただいたのですが。

 そして2年ほどの活動を経て日本学術会議会長の吉川(弘之)先生から報告書を出していただいて……。でも、国はわれわれが期待するほどのリアクションは全くなくて。

[こばやしゆたか, ITmedia]

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