News 2003年5月8日 09:17 PM 更新

ロボカップジャパンオープン2003観戦記
速攻、連携、ループシュート――白熱の中型ロボットリーグ予選(2/2)


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 前半開始時と同じようにEIGENのキックオフ。やはり同じようにEIGENが走る。ところが、こんどはMuratec FCのキーパーがきちっと反応するのだ(*7)。


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 これを境に、EIGENのシュートは決まらなくなってくる。一方、Muratec FCは見事なシュートを決める。前半終了直前にはEIGENのお株を奪うような速攻まで見せてくれた。前半を終わって5−2でMuratec FC。開始時には予想がつかなかった点差である。

 ハーフタイムは10分。この間にそれぞれがマシンの調整を行う。プログラムの変更なども可能だ。といっても、時間が限られるから、できるのはちょっとしたパラメータの変更くらい。

 EIGENはすこしパラメータをいじったようだ。前半よりもボールに食らいついていくアグレッシブなプレイスタイルに変わっている。しかし、なかなか追いつけない。コーナーからきれいにすり抜けて入れるポイントも見せるのだけど……。


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 Muratec FCは、フィールドを1人で走りぬける大技を見せてくれたりする。


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 結局、9−5でMuratec FCの勝利。観客の中からは「EIGENが負けた」というつぶやきさえ聞こえた。やっぱり詳しい人がいるのだ。

その他の試合

 この他の試合からいくつかを紹介するけど、やっぱり簡単になってしまう。チームの人、ごめんなさい。

  • Fusion vs WinKIT

 2日目の第1試合は、九州大学福岡大学の合同チーム「Fusion」 vs 世界大会準優勝の「WinKIT」という戦いになった。WinKITが押し気味に試合を進める。このチームは、わずかなすきをひょいとつくのが上手いのだ。自律で動いているとは思えないほど。結局4−1でWinKITの勝利。

 でも、ムービーは、Fusion(水色)のポイントシーン。一度はキーパーがセーブするのだけど、その後よく押し込んだ。


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  • Orient vs Trackies

 東洋大学のチーム名は「Orient」という。わかりやすい名前で好きだ。東洋大学は、去年まで国際合同チームの一員だったのだけど、今年から独立チームを作ってきた。

 対するは、大阪大学の「Trackies」。昨年の世界大会では優勝候補と目されたものの、準決勝でWinKITにPK戦で敗れてしまったチームである。ここは、ハードウェアを一新してきた。昨年まではEIGENと同じような普通の車輪だったのを、WinKITと同じ全方向車輪にかえてきたのだ。このため、今年のチームの力は未知数である。

 プレイを見るところ、Trackiesはどうもその一新したハードウェアに、まだまだ慣れていないようだ。あまりいいところを見せられずに、5−0で敗退。これは、全方向車輪が悪いわけじゃなく、純粋に慣れの問題だと思う。スラップスケートに履き替えた最初のシーズンみたいなものだもんね。


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 Trackies(水色)のキーパー、必死にセーブするのだけど、ついにゴールされる。


 これはOrientの4号機。これ1台だけ、イヌなのだ。彼のせい(?)で、Orientファンは多い。キャラクターも大事だ。

 さて、予選が終わって、対戦成績はこのようになった。


 順位は、次の通り。

チーム名勝ち点順位
Muratec FC310101
Orient30192
WinKIT22083
EIGEN21174
FH.MUSASHI20265
Fudion10336
Trackies10337
電Q00408
(6、7位は得失点差による)

 紹介しそこねたけど(*8)、FH.MUSASHIは、九州工科大学北九州市立大学The Fraunhofer Institute(ドイツ)の合同研究所「GMD-Japan Research Laboratory 」のチームだ。この大会唯一の国際チームである。電Qは大阪電気通信大学のチーム。

 さて、この上位4チームが決勝進出で、トーナメントを争う。1回戦は1位 vs 4位、2位 vs 3位 で行われる。ということは、Muratec FC と EIGENがまたぶつかるのである。Muratec FCが今日のような強さを見せつけるのか、それともEIGENはループシュートを破って雪辱を果たすのか、期待がふくらんだところで、次回につづく。


*7 学習したのかと思って聞いたのだけど、そういうわけではないらしい。
*8 巡り合わせが悪くて、試合を見られていないのだ。

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