News:アンカーデスク | 2003年6月19日 01:38 PM 更新 |
まだ、細かいところでユーザーインタフェースの吟味が必要かなっていうところはあるのだけど、素性はすごくいいと思う。あとは、こういうものを作ったら、メーカーの枠を超えて使えるものにしてほしいと、今のうちに言っておく。
Tactile Interfaces
液晶パネルに表示されたボタン。これをクリックすると「カチッ」と振動が返ってくるというもの。押したことのフィードバックに触覚を使うわけだ(関連記事)。
これ、同じようなものを以前見た記憶がある。記憶が不確かだったんで今調べたら、2001年10月のCEATECだった。トーキン(*4)が自社のマルチアクターっていうあたらしいアクチュエータのデモのために作ったものと基本的には一緒だ。
CSLのものも、やはり自社開発のアクチュエータを使って液晶を振動させている。実は全面が一度に振動しているんだけど、ボタンを押している指にはそんなことはわからない。
CLIEに仕込んだものもあったし、もっと大きな液晶パネルで、上をペンデバイズでなぞると振動が返って来るというものもあった。ざらざらしたところをなぞると、ざらざらっぽい振動をさせるわけ。
私が一番気にいったのは、テキストの上を(選択するように)なぞるとでこぼこ感が返ってくるっていうもの。なんか変にリアルで笑いだしちゃった(*5)。
インタラクション2003では、電磁誘導を使って同じように触覚インタフェースを返すものが発表されていた(*6)。そちらは水平方向の力を加えて「押しにくいボタン」も実現していたのだけど、CSLのはそれはできない。その代わり、ずっとコンパクトに収められるというわけ。
Gummi
「曲げる」操作を使うユーザーインタフェース。ディスプレイの両側に取っ手が付いていて、それを両手で保持するのが基本姿勢。この状態でディスプレイを曲げる方向に力を加える。中央部分がこっちに来たり向こうに行ったりするわけ。あとは、このアクションに機能を割り当てるだけ。
手前に曲げるとズームアップ向こうに曲げるとズームアウト、手前に曲げると選択、向こうに曲げるとキャンセル(一階層戻る)、手前に曲げるとムービーが早回し、向こうに曲げるとスローモーションなんていうようなデモが行われていた。
また、取っ手の向こう側(人差し指などがあたるほう)には、トラックパッドのようなセンサーがついていて、それでポインティング作業もできる。
いまはまだごつい筐体だけど、これはディスプレイがほんとに薄くて曲げられるものになったとき、真価を発揮するはずだ。そのときにはねじるアクションも使えるようにしてほしい。
SmartSkin
ちょっと見は、白い大きなテーブル。この上に手を乗っけると、そこに青い光が落ちる。天井にプロジェクタがしこまれているのだ。両手で触ればちゃんと2カ所光るし、何人で触ってもちゃんとついてくる。
このテーブルにタネがあるのだ。と言ってもしかけはごく簡単。テーブルの上には実は薄いベニヤ板が乗っかっている。この裏側にエナメル線が縦横10センチ間隔で並べて走らせてあるのだ。
エナメルで被覆してあるので、縦横の接点に導通はないのだけど、そこにコンデンサー分が発生する。ここに人間の手のような接地された導電体が近づくとコンデンサー容量が変化する。あとは、ポイントごとの変化を測定して、補完するだけだ。
エナメル線の間隔はもっと狭くしてもいい。タブレットサイズで縦横1センチ間隔というものもあって、こちらでは、押し当てた手のひらの形を綺麗に拾い出すことができていた。
さっきもいったように、このデバイスでは、同時に複数のポイントを検出することができる。簡単なゲームのデモもあったのだけど、それはテーブルを囲んだ4人(手が8本)で、わいてくるビー玉画像を、みんなで自分のところにかき集めるというものだった。
パソコンの操作では、「オブジェクトに2本の指を当ててくるっと回す」なんていうインタフェースが実現できる。また、細い指でこすったときと手のひらでこすったときとで動作を変える(手のひらは消しゴムツールかなぁ)なんてのもあり。
もう一つのメリットは、めちゃくちゃ安価なこと。なんてったってエナメル線だけなのだ。しかも、とっても壊れにくい。板が割れちゃわない限りは表面をぶん殴ったって、線が切れることはまずないだろう。お望みなら壁一面これにしちゃったっていい(*7)。
弱点は、想像がつくだろうけど、電磁ノイズに弱いこと。テーブルにおいた携帯電話が着信すると、見事にそのノイズを拾っていた。この理由で液晶パネルやプラズマディスプレイにしこむというのは難しい。ただ、液晶については、ものによって影響が大きいものと小さいものがあるという話なので、今後改善される見込みはある。
多ポイントを拾うので、CPUの負担はどのくらいなのかを聞いたのだけど、20ポイントくらいまでならどうということはないらしい。さらに、「それに、あっちでは、これをPlayStation 2(PS2)につないだデモをやっているんですが、SmartSkinから得られるデータの形は画像データと一緒なんですね。ですから、画像処理に特化したPS2だとかえって速かったりする」のだそうだ。だとすると、フロントエンドにPS2(のCPU)を使うようにすれば、いくらでもなんとかなりそうだ。
このデバイス、私は今すぐにでも欲しい。とっても面白そうだ。
このほかにもいくつも紹介したいものがあるのだけど、とりあえずここまで。
[こばやしゆたか, ITmedia]
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