News:アンカーデスク 2003年6月27日 11:59 PM 更新

っぽいかもしれない
頼れるヤツらはこんなヤツ――ヘビ型・クモ型、ジャンプに変形……(2/4)


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 これは、東京工業大学の広瀬研究室の蒼龍(そうりゅう)だ。クローラで囲まれた3つのユニットがつながっているだけという非常にプリミティブな構造を持っている。

 実は、この研究室はもともとヘビの動き方を研究して、原理通りのヘビロボットも作成している。蒼龍はそれを踏まえたうえでの構造なのだ。

 この蒼龍、2年前にはもう動いていただけあって、今の時点での完成度はピカイチ。デモで動かしている間に、にっちもさっちもいかないという状態になることがない。少なくとも私が見ている間にはなかった。

 先端にはカメラとライトが取り付けられており、無線で飛ばされた画像をモニタで見ることができる。実際の運用を考えると、このモニタを見ながら操縦をしなければいけないのだけど、それについてはまだ研究途中。

 現在第3世代になる「蒼龍III」を作成中だそうなので、それにも期待だ。

 また、それとは別に、床下の検査用に応用するということも考えられるそうだ。このときはカメラをもっとたくさんつけて全方向を見られるようにする。普段は床下検査なんて地味な業務に従事しているのだけど、いざというときにはレスキューロボットとして活躍っていうことができるわけだ(*4)。


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 同じく広瀬研究室の玄武(げんぶ)。こちらは、クローラではなく巨大な車輪をつないだ構造をしている。このマシンは電気でモータを回しているのだが、現在水圧で駆動するモータを使用する研究が進められているのだそうだ。消防自動車のホースをつなぎ、水圧でがれきの中を進み、火災を発見したらそこに水をかけるという活躍が期待できる。


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 京都大学大須賀研究室の「がれき内探索ロボットMOIRA」。周囲に8個のクローラのついたユニットが連結された構造だ。このような構造により、どの向きに転がったとしてもそのまま動けるし、ある程度ならばがれきをかき分けながら潜っていくことも可能だ。また重力センサーによってどちらが上であるかは認識しており、カメラの画像はそれによって調整される。

 このロボットは有線で動かすことが想定されている。有線か無線かというのも難しい問題だ。無線ならばロボットの行動の自由度はあがるが、それは迷走してしまうかもしれないということにもつながる。また災害現場においてどこまでノイズの影響なしに無線操縦ができるかもまだ未知数だ。

 また、ここで使われているケーブルには形状センサーが内蔵されており、これによっていまMOIRAがいる位置(ケーブルの反対端からの相対位置)を正確に検出できるというメリットもある。

 登坂能力は現状34度だけど、潜在能力は90度でも可能のはずなのだそうだ。38センチの段差、61センチの溝を乗り越えることが可能。自分の胴体幅よりも少し小さなすき間に潜り込む時、50キロのものなら持ち上げていける。


 電気通信大学松野研究室と日本SGIによるクローラ連結型ロボット「KOHGA」。このチームは現在リモコン戦車スタイルのロボットを持っており、これでRobocupにも出場している。しかし、このスタイルでは乗り越えられる障害物等に限界がある。


*4 レスキュロボットを普段でも何かに使えるようにすることで、普及を図ろうというアプローチは、他の研究者からも伺った。それは大事な視点かもしれない。

[こばやしゆたか, ITmedia]

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