News 2003年7月23日 09:02 PM 更新

デジタル写真の新たな表現方法――ハイパーフォトを実現するPhotoWalker登場(3/3)


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 写真間のリンクは、1対1のほか、1枚から複数枚の写真に分岐するように張ることもできる。JPEG、GIF、TIFF、PICTの各画像ファイルが読み込めるので、地図と写真のようにアイデア次第で組み合わせは無限に広がるだろう。

 完成したPhotoWalkerコンテンツを再生すると、表示中の写真の上に次の写真がうっすらと透けて見える。この重なった部分をクリックすると、次の写真が開くわけである。


重なり合った半透明部分へのズーミングはモーフィングアニメーションで表示されるので、あたかも空間を移動しているような感覚になる

PhotoWalkerコンテンツの作成テクニック

 PhotoWalkerをうまく使いこなすには、いくつかのコツがある。

 一つめは、写真を撮る前にストーリーを作っておくことである。なぜなら複数枚の写真は1枚だけの場合よりも、ひとつながりの空間性、ストーリー性、テーマ性を表現してしまうからである。テーマは自由に決めてよいが、例えば「A」−「B」−「C」と写真が並んでいるところにいきなり系統の違う「(いろはの)い」が出てくると、強い違和感を感じてしまうものである。風景写真なら風景写真、マクロ写真ならマクロ写真などのように、同じ系統の写真を並べた方が座りがいい。

 また、写真の構造は、手前から順に奥に進んでいく方が自然に見える。いくら空間を再現したといっても、写真の視野は狭いので、進む方向がバラバラだと見ていて疲れたり迷ったりしやすいのだ。

 写真を1枚ずつめくっていくPhotoWalkerでは、写真のハイパーリンクで迷う確率はWebページよりも格段に高い。筆者が使った限りで言えば、二分岐が2回あっただけでもう迷ってしまうものだ。ただし、分岐がある方がユーザーは能動的に写真に関われる。どちらがよい、という問題ではない。

 二つめは、リズムを作ることである。PhotoWalkerは動画ではないが、時間経過とともに空間を再現していくという点では、時間に依存した表現でもあるのだ。

 時間に依存したものは、リズムを作ると軽快になる。3拍子や4拍子などのように3枚目あるいは4枚目ごとに特別な効果を入れると、閲覧者の期待感に応えられるノリのいいコンテンツになるだろう。

 最後のコツは、同じ位置にリンクを重ね過ぎないということである。そうしてしまうと、移動先の写真がどれなのかわかりにくくなるほか、移動時の効果が出にくいため迷いやすくなる。

 PhotoWalkerの楽しさは、写真を移動したときの浮遊感やスピード感にある。それを心がけながら作成しよう。

 PhotoWalkerは、標準では「.hpp」というXML形式のテキストファイルでリンク情報を保持する。.hppは絶対構造でリンクを記述しているので、このままではインターネットに公開できない。

 このため、PhotoWalkerで作ったPhotoWalkerコンテンツをインターネットに公開するときは、メニューバーの「パブリッシュ」メニューを使って相対構造で書き出す必要がある。出来上がったフォルダをそっくりそのままアップロードすれば、それで公開が可能だ。


アップロードしたPhotoWalkerコンテンツは、PhotoWalkerサイトに登録できる。地図上にある白い○印は、登録されたPhotoWalkerコンテンツ。地図の左側には、登録コンテンツのタイトルページがサムネイル表示されている

PhotoWalkerが切り拓く新しい写真表現

 PhotoWalkerは、4点リンクという最小限の手間で写真同士をつなぎ合わせることにより、これまでにない写真の新しい楽しみ方を実現した。

 デジタルカメラやカメラ付き携帯電話で日々生み出される大量のデジタル写真は、これまでにない新しい認知や記憶の楽しみを創出するだろう。記憶媒体の大容量化やインターネットの普及により、デジタル写真は世界そのものの写し絵になっていく可能性すらある。実際、筆者自身が先日10日間の旅行で1万枚もの写真を撮ったほどで、量の点でも質の面でも、デジタル写真は従来とは比べものにならないほど大規模になっていくだろう。

 それらの写真が相互にリンクし、新しい表現となっていく時代がやって来ている。PhotoWalkerはその方式の有力候補の一つとなるだろう。

関連リンク
▼ PhotoWalkerサイト

[美崎薫, ITmedia]

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