News | 2003年7月25日 06:54 PM 更新 |
日本ユニシスは、7月25日に自社テクノロジーの報道機関向けセミナーを開催した。今回のセミナーで紹介されたのは、ユニシスが開発に取り組んでいるRFIDソリューションプロジェクトと、開発環境として取り入れているLUCINA for .NET。
「ROMA」(Resource Operation Management Architecture)プロジェクトと名づけられたユニシスのRFIDシステムは、6月のサービス開始発表を経て、数社の協力企業で実証実験が行われている段階。セミナーでは、すでに報道されている日本航空のほかに、出版、アパレル、製造の各業界における評価事例が紹介された。
いずれのケースでも、製品にRFIDを取り付けて、在庫や物流管理といったロジステック的活用が中心となっているが、アパレル業界では万引き防止タグとしての効果検証、製造業ではユーザーによる製品の使用状況の把握などの検証も行われる予定になっている。
現在、評価作業が進行中ということで、具体的な企業名や、評価内容については明らかにされなかった。ユニシスは現在行われている評価結果を秋には 公表する。
ユニシスによると、取り付ける製品の形状、材質、加工方法などの条件によって、RFIDの実装が困難になるケースが検証作業中に確認されているらしい。チップを実装する平面が確保できない形状や、加工段階で高温高圧がかかる場合に、無線ICチップの脱落が発生するという。この問題解決のために、現在、チップベンダーでは実装技術の改良などに取り組んでいる。
セミナーでは、ROMAに対応した最初の製品「Information Wharf 1.0」の存在が明らかにされた。発表は8月1日、出荷は10月1日からの予定。
“Wharf”には港という意味がある。これは、世界中の船から陸揚げされた荷物にタグをつけ、倉庫に一元的に管理するイメージを表している。船をユーザーが使う端末、陸揚げされた荷物をセンサーから取得したデータに見立てているわけだ。
ROMAアーキテクチャでは「デバイスからのデータ取得」→「データのメタ情報化」→「一元管理」→「データ内容と変更の監視」→「取得したデータに対応したアクションの指示」というフローで処理が行われる。
ROMAは、ネットワークデバイスにRFIDを実装したデバイス以外に、携帯電話、GPS、カメラ、PDAなどのマルチデバイスに対応、RFIDの標準化団体である「オートIDセンター」「ユビキタスIDセンター」、または、チップベンターオリジナルの規格をそれぞれサポートするなど、マルチプラットフォームの対応が大きな特徴となっている。
本来なら、複数のデバイスから取得した異なるデータを使って一つのアクションが発行できる「マルチ対応のルールベース・タギング」をサポートすることになっているが、Information Wharf 1.0では、一つの取得データに対して一つのアクションを指定する「シングル対応のルールベース・タギング」のサポートに留まっている。マルチ対応については、これから出荷が予定されているバージョン2.0以降で実現する予定。
10月の時点では、Linux版のInformation Wharf 1.0が出荷され、その後、Windows版、Solaris版が登場する。プラグも、大日本印刷、オムロンなどのベンダーオリジナルのRFID、ICカード、GPSに対応したものが第1陣として登場し、オートIDセンター、ユビキタスID対応のプラグも順次リリースする予定になっている。
ユニシスでは、ROMAビジネスを流通、物流分野に集中して展開していくことにしており、今年いっぱいはコンサルティングを行いながら、RFIDと数種類のデバイスに対応した実証実験をメインに行っていく。
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[長浜和也, ITmedia]
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