News | 2003年8月5日 10:02 AM 更新 |
7月31日から8月3日にかけて開催された「2003“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース」。しかしスペシャルステージが行われた8月2日および決勝日の3日、時と場所を同じくして、鈴鹿8耐ライブを支えたインテル、日本ヒューレットパッカード、マイクロソフトのスタッフによるカートレース「ウラ・ハッタイ」が、自身もカートレースを嗜むというマイクロソフトM氏の提案により催された。
賞金は特になし。優勝へのモチベーションはただ一つ。“最速ITカンパニー”としての意地だけである。
2日の予選を控えた時点での下馬評は、「今度、カートの7時間耐久に出るんだよ」と話していたマイクロソフトM氏が有利というもの。対抗馬は常にインテルのハイパフォーマンスプロセッサを担当し続け、「昔ちょろっとだけやっていたことがある」というインテルH氏である。
だが、伏兵が潜んでいた。同じくインテルでソフトウェアのパフォーマンスチューニングなどを担当してきたO氏だ。
実直で口数の少ないO氏は、その職業柄からレーサーよりもメカニック向きと思われていた。だが、なんとはじめてのコースで1周36秒を切るスーパーラップを記録。普段からパフォーマンスチューニングにいそしんできた経験が生きた?のか、38秒台の2位に終わった本命・マイクロソフトのM氏に圧倒的な差をつけた。
対抗馬だったインテルH氏はパフォーマンスを追求するデスクプロセッサから離れて数年。そのブランクがたたってか、39秒台の3位に甘んじた。だが、現在はエンタープライズ系プロセッサを担当するH氏は「重要なことは絶対速度よりも、信頼性が高いこと、後ろの車に抜かれないことを目指した」と、非常に堅実な走りに徹したことを強調した。
この結果を受けM氏は「今回の“予選”は2位だったが、“明日の決勝”は頑張りたい。H氏が抜けずクリアラップを取れなかったが、本来、こんなハズはない」と、誰も聞いていなかった“明日の決勝”を突如発表。雪辱を狙った。
だが、実はちょくちょくカートで走っているというO氏は、40秒を超える記録だったHPのエースY氏ほかの練習を口実にフリー走行を、M氏にはナイショで敢行。参考記録ながら、コースレコードにも迫る34秒台を記録。絶好調ぶりを印象付けた。Y氏もグングンとタイムを上げ、全くの初心者でありながら40秒を楽に切れるようになり、優勝戦線は三つ巴に。
マイクロソフトM氏は、自ら企画した本番でのレース開催前に、タイム的にはすでに絶体絶命のピンチに立たされていたわけだが、絶対の自信からかM氏は本番の決行を宣言。本物の8耐決勝当日の4時30分ごろから、IT3社の“最速”を賭けた戦いの火蓋が切って落とされた。
トップ争いを演じたのはやはり、“優れたオプティマイズでPentium 4パワー生かす”インテルO氏と、“コンシューマーPCのハイパフォーマンス化を支えたWindows XPを世に送り出した”マイクロソフトM氏の二人。
決勝はO氏、M氏の順に別々のヒートを走り、O氏が1周目にいきなり35秒台を記録。その後は37秒台にペースが落ち、M氏に逆転の余地を残した。しかし、O氏と同じマシンを駆ったM氏も記録は37秒止まり。インテルO氏の優勝となった。
しかし、O氏のあとに同じマシンにM氏が乗り込んだことや、当日、気温が非常に高かったこと。そしてO氏の後半タイムが伸びなかったことなどから、実はM氏が走る時点で、すでにエンジンが熱でタレていたのでは?との疑惑が発覚。4GHzを目指すインテルのPentium 4パワーが勝ったものの、「Pentium 4の(プロセッサ)パワーに負けたわけじゃない。Pentium 4のパワー(コンサンプション=消費電力)に負けたのでは」(業界情報筋)との見方も浮上した。本誌でもこうした声を受け、記事のタイトルを当初予定の「3GHzオーバーのパワーを利して」から「100ワットオーバーのパワーを利して」に変更することにした。
TrustWorthコンピューティングを標榜するステディM氏が信頼性を発揮したのに対して、スピードでは圧倒したインテルのO氏。ちなみに、さすがに経験者にはかなわなかったものの、HPのY氏が持ち前の適応力の高さを発揮して3位に食い込んだ。
敗れたマイクロソフトM氏は「言い訳はしないが、低グリップのタイヤで限界が低く、余分なもの(体重)が多い僕は、どうしてもあれ以上タイムを上げられなかった」とコメント。過去のAPIを清算し、Windowsの再構築を目指しているLonghornよろしく、来年に向けて自らの身体を再構築することを誓っていた。
来年の戦いを見据え、それぞれの胸に秘めたるものが残った「鈴鹿ウラ・ハッタイ」だが、来年も開催されるかどうかは全くの未定である……。
[本田雅一, ITmedia]
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