News | 2003年8月18日 11:26 PM 更新 |
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1位 | Windows地獄への旅……からの生還 | ||
2位 | 「中年の危機」に悩むHDD業界 | ||
3位 | 「ぬるぽ」 Winnyで広がるワームが出現 | ||
4位 | Googleを超える検索エンジンを求めて | ||
5位 | どこでも聴ける・見られるデジタルTV――「モバイル放送」を試してみました | ||
6位 | Photoshop 8.0、年内登場の期待 | ||
7位 | 新世代プロセッサ「Efficeon」に望みを託すTransmeta | ||
8位 | 「1CCD DVカメラ」が狙う次のステップ | ||
9位 | Mac版Office値下げ、新バージョンも発表 | ||
10位 | HDD記録密度の向上に陰り、業界に広く影響 |
昔々の昭和の時代。記者がまだけっこう痩せていて「何を着ても似合うからうらやましいよね」と言われていた大学生だったころのお話。
記者には、豪勢にも一軒家に一人住まいしている友人がおったそうな。それなりの年数が経っている木造平屋ではあったけれど、なんといっても一軒家なので部屋数だけはやたら多い。
当然のことながら、そこはみんなの溜まり場になってしまう。彼の家にはたくさんの人間と、それの人間が持ち込む酒とつまみと漫画と、飲み食いした大量のゴミが「すごい」ペースで貯まっていったのであった。
たくさん部屋のある一軒家だったけれど、一人で住んでいた友人は「掃除をするのが面倒ズラ」(ちなみに彼は沼津の出身)とか言いながら、一つの部屋しか使っていなかったので、みんなもその部屋に寝泊まりして飲み食いする。おかげで、汚れてゴミが蓄積するのは(友人の思惑通り)その部屋に集中することになる。
こんな感じで半年ぐらい生活すると、たいていの場合、人一人が横になるスペースをのぞいて、部屋はゴミと雑誌で占領され、汚れは人の居住に耐えがたいほどになってくる。
こんな状態になると、普通は耐えきれずに掃除を始めるところなのだが、友人は「掃除するのが面倒ズラ」といいながら、貴重品と必要最小限の荷物をもって隣の部屋に「引っ越し」をするのであった。さすが一軒家だからこそできる芸当。
しかし、それでも部屋の数は有限。2年目の春を迎えるころには最後の部屋も満杯になってしまった(すでに台所も風呂場も“腐界”と化していた)のである。さすがにそうなると「住めるところがなくなったずら」ということで、クラス総出で大掃除と相成った。
友人の一人として大掃除に借り出された記者は、トラック2台分のゴミを相手にふらふらになりながら「2階建てだったら、まだまだ持ちこたえたろうに」と考えていたのを昨日のように思い出すのであった。
昨年の後半からアキバのパーツショップでは久しぶりにHDD市場が活発に動いていたが、これはプラッタ容量60〜80GBとという新世代製品が登場したことと、100〜250Gバイトオーバーといった大容量HDDが登場したことが大きな要因となっている。
確かに、現時点におけるHDD業界の動きはそのころと比べるとだいぶ落ち着いてきている。「プラッタ容量の技術的限界」の話題は、だいぶ前から言われており、その解決策たる「垂直記録方式」などは、試作機レベルのものがすでにHDDベンダーから発表されている。
しかし、「「中年の危機」に悩むHDD業界」の記事で引っかかったのが、「さらに大容量のHDDを求める声は小さくなってきた」として紹介されていた、アナリストの分析だ。
たしかに、記者の周りで80GバイトのHDDを半分も使っていないユーザーはけっこうな数になるし、100Gバイト以上のHDDをビデオデッキPC以外の用途で使い切っているケースを見たこともない。
そういう現状を見てみると、アナリストのいう「もはやユーザーが必要とされていない」というのは正しいように思えてくる。
しかし、そう思った次の瞬間に、冒頭の大学時代の友人が浮かんできた。PCを使っていればゴミはどんどん増えてくる。別にユーザーがものぐさでなくても、ゴミもデータも画像もメールもどんどん増えてくるはずだ。そのままHDDに入れておけば、何かと便利だからだ。
「整理してバックアップして削除」という掃除を常に行えるユーザーは(どれほどいるか統計を取ったことはないが、多分)大多数ではないはずだ。
そんな大多数のユーザーは、2〜3年経ってHDDが満杯になるころに例外なく「ああ、もっと大容量のHDDにしておけばよかった」とつぶやくことは間違いない。
そう考えると「家とHDDは広いほどいい」というのは永遠に正論のような気がするのだが、いかがだろうか。
[長浜和也, ITmedia]
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