News | 2003年9月11日 00:59 AM 更新 |
9月10日から東京・ビッグサイトで開催している「自動認識総合展」で、ユビキタス社会の基盤技術として注目を集めている「RFID(無線ICタグ)」の最先端技術や最新動向が紹介されている。(バイオメトリクス最新動向は別記事を参照)
微小な無線ICチップによって人やモノを識別・管理できるRFIDは、従来はバーコードに代わる商品タグ技術として流通分野向けなどで開発が進められていた。だが最近では、米国MITが中心となって進める「Auto-ID Center」や日本の「ユビキタスIDセンター」のように、あらゆるモノにRFIDを搭載することで、IT社会の中核を担う次世代の個体認識システムとして活用しようという動きも活発になっている。
だが、あらゆるモノに搭載するためには、RFIDの大幅なコストダウンが必要となる。単にバーコードの代替としても1個10円以下は必須条件で、あらゆるモノにとなると5円以下にならないと難しいといわれている。
チップとリーダーの両輪で小型・低価格化を進める「ミューチップ」
日立製作所ミューソリューションカンパニーのブースは、超小型で低コストなRFIDとして期待の「ミューチップ」が、来場者の注目を集めていた。
ミューチップは、RFIDチップを0.3〜0.4ミリ角の極小サイズにすることで、1枚の半導体ウェハーから数十万個のチップを取得し、大量生産によるコストダウン効果でRFIDのデファクトスタンダードを狙う。9月2日には、従来型RFIDのコストアップ要因となっていた外付けアンテナをチップ内に内蔵した新ミューチップを発表。この新技術によって“RFIDチップ1個当たり5円以下”が2005年という近い将来で実現可能になってきた。
ブースでは、アンテナ内蔵型ミューチップのデモンストレーションともに、ミューチップのIDデータを読み取る極小サイズの専用ICを参考出展していた。
このミューチップリーダー専用ICは、同社とルネサステクノロジとが共同開発したもの。読み取りに必要な回路の高周波部を極小サイズ(5.2×5.2×0.9ミリ)に1チップ化し、さまざまな製品への低コスト・少実装面積でのリーダー機能搭載を可能にした。
「RFIDを広く普及させるには、小型機器にも組み込み可能な低価格のリーダーが必要。だが従来、RFIDリーダー向けの専用ICを作るメーカーなどなく、汎用チップを組み合わせていたため読み取り装置の小型化や低価格化が難しかった。今回の専用ICを使えば15ミリ角ぐらいのサイズにリーダー機能を収めることができ、携帯電話やPDAといった小型の機器への組み込みも可能になる」(同社)
元祖「アンテナ内蔵」は“金”ではなく“銅”
新ミューチップは金メッキでアンテナを形成しているが、ミューチップよりも早い時期にメッキ技術を使ってRFIDのアンテナ内蔵化を実現していたのが、日立マクセルの「Coil-on-Chip」だ。すでに2001年4月から量産を開始している。
同社ブースでは、Coil-on-Chip RFIDシステムの紹介と、最新の大容量4Kバイト版Coil-on-Chipを展示していた。
[西坂真人, ITmedia]
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