News 2003年9月22日 09:32 PM 更新

Blu-ray DiscとAOD――本格普及の鍵は“ROM”が握る(2/2)


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2006年ぐらいからハリウッドが動く?!

 「ハリウッドが保有する手持ちの映画タイトルのDVD化がどんどんDVD化されており、このまま行くと2007年頃には一通り完了する。そうなると2007年から2008年ごろにHD-DVDに対する需要がくるのでは」

 パッケージメディア(ROM)の普及の鍵を握るハリウッドの状況を分析し、次世代光ディスクの普及時期をこう予測するのは、東芝の山田尚志氏(デジタルメディアネットワーク社首席技監)だ。


「HD DVD(AOD)の技術開発と将来展望」と題した講演を行った東芝デジタルメディアネットワーク社首席技監 山田尚志氏

 DVDがここまで急速に普及した背景には、DVDパッケージの低価格化という要因もあるが、コンテンツのDVD化が急速に行われたらからに他ならない。そういう意味では、いつ、ハリウッドが本腰を入れるのか――これが重要な鍵を握ることになる。

 ハリウッドが手持ちのタイトルのDVD化を一巡してしまえば、飽和状態になり、新しいメディアへの移行が始まる可能性は確かに高い。

 また、HD-TV放送の本格化によってもハリウッドが動く可能性もある。「DVDの普及の要因の一つにディスプレイ(TV)の進歩がある。DVDを出したときは、平均30インチぐらいのディスプレイが主流でVHDとDVDの画質の差が分かった。ディスプレイで(画質の)差が分かるようになるのことが必要だ」(山田氏)

 「HD-TVが普及して『DVDは画質が悪い』ことが分かれば、(ハリウッドが)動くことになるだろう。その(ハリウッドが動く)タイミングは、早くても2005年以降ではないか?」(藤原氏)

コピープロテクションが最大の難関に

 ハリウッドは現在、DVDによる売り上げでかなりの利益を上げている。次世代光ディスクのコンテンツがすぐに出てこない理由の一つがそれだ。しかし、最後に問題となりそうなのが、HD-TVに移行した際のコンテンツプロテクションにある。「ハリウッドの収入は、映画の興行が25%ぐらいで、60%以上がDVDの収入。このため、これをどうやって維持するかがハリウッドの関心事」(山田氏)。

 「ハリウッドは、HD-TVに対しては、暗号化したデジタル出力しか認めないといっている。こうなると、HDディスプレイといって販売したものがほとんど使えなくなってしまう。また、(パッケージタイトルを再生したときの)コンポーネント出力が、HD-DVD対応のプレーヤーから出せるかどうか難しい話になる」(山田氏)

 これは確かに大きな問題だ。デジタルしか出力を認めないということになると、国内でもこれまで販売されたHD-TV対応のディスプレイの多くが使えなくなる可能性が高く、新しいディスプレイを購入する必要が出てきてしまう。

 「これまで販売されたディスプレイが使えなくなると、特に米国では、裁判沙汰になり問題になるだろう。今後、コピープロテクションが一番問題になるかもしれない」(山田氏)



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[北川達也, ITmedia]

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