News 2003年11月26日 09:12 PM 更新

「HD DVD」規格が一部承認へ

承認が見送られていた次世代光ディスク規格「HD DVD」(AOD)の再生専用規格「HD DVD-ROM(仮称)」が、DVDフォーラムの幹事会でようやく認められた。今後は、書き換え型規格の承認を目指すことになるが、その道は険しそうだ。

 東芝とNECがDVDフォーラムに共同提案していた次世代光ディスク規格「HD DVD」(AOD)の再生専用規格「HD DVD-ROM(仮称)」が、DVDフォーラムの幹事会においてこのほど承認された。今後、東芝・NEC両社は、書き換え型のHD DVD-ARW規格の承認を目指すことになる。

 HD DVD規格は、東芝とNECが共同でDVDフォーラムに提案していた波長405ナノメートルの青紫色レーザーを採用した次世代ディスク規格。再生専用の「HD DVD-ROM(仮称)」と、書き換え型の「HD DVD-ARW(Advanced ReWritable、仮称)」の規格策定が、DVDフォーラムにおいて行われていた。このうち、今回DVDフォーラムの幹事会で承認されたのは、再生専用のHD DVD-ROM規格のみだ。

 HD DVD-ROMは、片面単層で15Gバイト、2層で30Gバイトの容量を実現し、現行のDVDと同じディスク構造をとることが特徴。これによって、メディアの製造工場は、現行のDVD用の設備に手を加えることで転用でき、新たな設備投資をほとんど行うことなくHD DVD-ROMに移行できるというメリットがある。また、現行のDVDとの互換ピックアップを設計しやすいというメリットも併せ持つ。


東芝がCEATEC JAPAN 2003で展示していたHD DVDプレーヤー

 HD DVD規格は、これまでその承認を目指して、2度DVDフォーラムの幹事会にかけられられたが、ともに承認が見送られていた。だが、東芝とNECはともに「DVDフォーラムの幹事会で承認されるように粘り強く進めていきたい」としてアピールを継続。これが今回、実を結んだ格好となった。

 ただし、DVDフォーラムに提案中のもう1つの規格、書き換え型のHD DVD-ARW規格については、今回も承認が見送られたようだ。今後は、この書き換え型規格の承認を目指すことになる。

 なお、DVDフォーラムの幹事会は、日立製作所/IBM/Intel/ITRI(Industrial Technology Research Institute)/LG電子/松下電器産業/三菱電機/NEC/パイオニア/Philips/サムスン電子/シャープ/ソニー/トムソン/タイムワーナー/東芝/日本ビクターの17社で構成されている。

 HD DVD規格は、次世代の技術検討を行うWG(Working Group)11及びその上位機関であるTCG(Technical Coordination Group)で承認されているようだが、正式規格として成立するためには、DVDフォーラムの最高機関である幹事会(Steering Committee)において承認される必要がある。

 DVDフォーラムの幹事会における承認は投票によって行われ、半数の賛成票が必要とされるようだ。DVDフォーラムの幹事会は、その構成メンバーのうち、10社がBlu-ray Discファウンダーズのメンバーという状況。今回、HD DVD-ROMが承認されたとはいえ、残ったHD DVD-ARWの承認については予断を許さない状況だ。

 次回の幹事会において、HD DVD-ARW規格承認にこぎ着けられるかどうかに注目が集まる。


東芝、NEC、メモリーテックが共同で製造したHD DVD-ROMの技術検証ディスク

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[北川達也, ITmedia]

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