News:ニュース速報 2002年4月11日 07:22 PM 更新

JASRACの申し立ても認める 地裁,ファイルローグに差し止め命令

 日本音楽著作権協会(JASRAC)によると,東京地裁は4月11日,ファイル交換サービス「ファイルローグ」を運営する日本MMOに対し,JASRACが著作権を管理する音楽CDから作成されたMP3ファイルの内容を示す情報をユーザーに提供してはならないとする命令を出した。

 この問題は,日本レコード協会(RIAJ)とレコード会社19社,JASRACが1月,市販CDから作成したMP3ファイルを同サービスから排除するよう求めた仮処分申し立てに対するもの。東京地裁は4月9日にも,日本レコード協会(RIAJ)加盟のレコード会社の仮処分申し立てに対し同様の差し止め命令を出している。

 JASRACによると東京地裁は,「ユーザーが私的に複製したMP3ファイルであっても,それを公衆が受信して音楽を再生できるような状態にした場合,複製権の侵害になる」「ファイルローグを利用したMP3ファイルの送受信は送信可能化権の侵害・自動公衆送信権の侵害にあたる」とした。

 その上で,(1)日本MMOの行為の内容や性質,(2)MP3ファイルを送信可能な状態にしているユーザーの行為に対する同社の管理/支配の程度,(3)サービス提供による同社の利益――を総合的に判断すれば,日本MMOが「自動公衆送信と送信可能化」の主体であり,「JASRACが保有する自動公衆送信権と送信可能化権を侵害している」と認定した。

 JASRACは,申し立てから2カ月で仮処分命令が下されたことを高く評価。日本MMOは,9日のRIAJの申し立てに対する仮処分命令が下された後に,「サービスは一旦停止するが抗告して争う」とコメントしているが,JASRACは「裁判所の決定を真摯に受け止めるよう求めていく」としている。

 JASRACの吉田茂理事長は,「ファイルローグユーザーとともに日本MMOが著作権を侵害しているとの判断は,裁判所の見識の高さを示すもの」と歓迎するコメントを発表。また「(今回の仮処分決定が)同サービスを介してファイル交換されている他のさまざまなコンテンツの著作権者にとっても大きな指針となり,ネットワーク上で氾らんする他の違法行為に対しても警鐘となる」としている。

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▼ 日本音楽著作権協会

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