企業がビジネスを行う上で重要な「会議」。会議がうまくいかないと、新しい企画アイデアが出てこなかったり、必要な情報共有が行えなかったり――と、チームの力を十分に生かせず、各メンバーが生産的な仕事をできなくなってしまいます。
とはいえ、スムーズに会議を進めるのはなかなか難しいもの。アイティメディアの編集部でも、会議がうまくいかずに困ってしまうケースがちらほら。つい最近開いた企画会議も、いい意見がほとんど出てこないばかりか、時間を大幅にオーバーしてしまったりと失敗続き。
「どうしたらいい会議ができるんだろう」――そんな悩みを抱えていたその時、1冊の本の存在を知ることに。それは「コクヨの3ステップ会議術」という本。著者の下地寛也さんは、コクヨで多くの企業向けに会議改善トレーニングを手掛けており、ネットでの本の評判もなかなかいいようですが、本当にそんなに簡単に会議がうまくいくのでしょうか。下地さんのもとを尋ねてみました。
――下地さん、今日はよろしくお願いします。突然ですが、企画案出しの会議が全然うまくいかないんですよ。それって一体なぜなんでしょうか。
下地さん まあまあ、落ち着いてください。まずは一度、この間の“失敗会議”がどのようにダメだったのか、全体の流れを振り返ってみましょうか。
<会議当日まで>
<会議当日>
――ざっとこんなところでした。今思い返しても全然ダメでしたね。というか写真を見て気付きましたが、隠れてスマートフォンをいじっている人もいたとは……。
下地さん はい、これは典型的なダメ会議です。中でも「シーン会議」と分類されるものですね。
――「シーン会議」、ですか?
下地さん 参加者からアイデアを出してほしいのに、誰からも建設的な意見が出ない。そのように「シーン」としてしまっている会議のことです。ダメな会議には他にも「ダラダラ会議」(時間通りに結論が出ない)、「ギスギス会議」(互いにけん制し合って空気が悪い)などがあります。
――なるほど。では、なぜ私たちの会議はシーン会議になってしまったんでしょうか。
下地さん まず知っておかないといけないのは、会議には2種類があるということです。1つは「ディスカッションを目的とする会議」で、もう1つは「報告・共有を目的とする会議」です。
報告・共有を目的とする会議は、時間内に効率的に全員の意見を回すことが求められます。一方。ディスカッションを目的とする会議は、気付いた人にどんどん意見を出してもらう必要がある。これはスポーツに例えれば、野球とサッカーのように異なるものです。今回のような企画案出し会議は、野球のように打順を回すのではなく、参加者間で柔軟にパスを回し合っていく必要があるのです。
司会者はまず、この会議の目的は何であるのかということを、メンバー間に示しておく必要があるでしょう。
――とはいえ、「これはアイデア出しの会議です」と告知しても、会議中にメンバーから意見が出てくるとは限らないのではないでしょうか……。
下地さん そこで2つ目のポイントですが、アイデア出しの会議には、アイデアを積極的に出してもらうためのコツが必要なのです。
そもそもアイデアというものは、未来に対してまだ決まっていないことなので、メリットだけでなく必ずデメリットもあるものです。そこで司会者や参加者に求められるのは、出てきたアイデアを「絶対に批判しない」ということです。
また、「何かいいアイデアはないか?」と呼びかける司会者もいますが、それもNGです。デメリット(リスク)もある発言を促す上では、発言のハードルを極力下げてあげる必要があるわけです。
――確かに、「いいアイデアはないですか?」と呼びかけ、あまり建設的でないと感じられる意見が出た時にはつい「それは少し違うんじゃないでしょうか」とか「もっと○○な意見を」などと批判してしまっていました。
下地さん それは反省すべき点ですね。そしてもう1つ大切なのは、アイデアを「発散」させるタイミングと「収束」させるタイミングを分けて、事前にそれぞれ何分ずつで区切るのかを決めておくことです。
有用性を問わずアイデアをどんどん出す(=発散)タイミングでは、例えば「最初の10分間でアイデアを30個以上出そう」と決めておく。その後、多数出たアイデアをいくつかに絞り込む(=収束)タイミングでは、「次の15分間で3〜5個程度まで絞ろう」と決めておくのです。
この2つのステップを効率化するためには、各参加者が紙などに意見を書き出しておくことも有用です。発散のタイミングではとにかく付箋に書き出していき、収束のタイミングでそれらを整理すれば、うまく2つステップを切り替えられるでしょう。
そして最後のポイントは、「会議内で全てを決めきろうとしないこと」です。アイデアがだいたい絞り込めたらもうOK──くらいの感覚で、最後は誰かの“宿題”にします。なぜなら多人数で最終決定をすることが一番時間をとるからなのです。そして次回その宿題を確認して正式決定すると、驚くほどスピーディーに会議は進みます。
以上のポイントを踏まえ、再び企画案出し会議にチャレンジしてみることにしました。
さらに今回は、インテルのリアルタイムコラボレーションシステム「インテル® Unite™」を活用。対応しているPC1台を一般的なモニターやプロジェクタに接続しておけば、専用端末などを一切使うことなく、共通のLAN内にある複数のPCやタブレットの画面をスムーズに切り替えながら共有できる――というシステムです。これを会議で使えば、資料やアイデアの共有などに役立つそうです。
それでは早速、はかどる会議術とはかどるITを使った“究極のディスカッション”に挑戦してみましょう。果たしてその結果はいかに?
司会 今回は、ITmedia ニュースの特集ページ「ミライの働き方研究所」にこれから掲載するコンテンツの案出し会議を行います。資料は事前にお知らせしていた通りですが、まずは今まで掲載してきたコンテンツ一覧表をごらんください。
司会 この特集では「自由なビジネスパーソンの働き方を応援する」というテーマで、これまで1年間にわたって記事を掲載してきました。今回は、前半の10分間でアイデア出し、次の5分で発表、最後の5分で絞り込み――という流れで進めます。それではみなさん、手元のノートPCやタブレットにアイデアを書き込んでみてください。
ちなみにこの特集ではこれまで、徳島県の山間地域にサテライトオフィスを設置したSansanへのインタビューや、ミクシィの「モンスターストライク」開発チームの作り方などの記事がヒットしてきました。皆さんもぜひ、「ユニークな働き方で注目している企業」「こんな働き方ができたらいいのに」といったアイデアを気軽に書き出してみてください。
……10分後
司会 それでは時間になりました。皆さんのPCやタブレットはUniteでモニターにワイヤレス接続されていますので、手元の「共有」ボタンを押して画面を共有しながらアイデアを発表してください。それでは、まずはIさんからお願いします。
Iさん はい、私はこのようなアイデアを考えました。(画面を写しながら)1つ目のアイデアは、〜〜というものです。これは○○がポイントです。2つ目は……。
司会 ありがとうございました。それでは続いて次の方、お願いします。
……5分後
司会 皆さんのアイデアが出そろいましたので、絞り込みに入りたいと思います。自分以外の人のアイデアから「これはいい」と思うものを2つ、ディスプレイに表示してください。
司会 ありがとうございました。重複を除くと、最後に残ったアイデアは7つですね。ではOさん、これらのアイデアをいったん持ち帰っていただいて、Oさんなりに5つまで絞ってみてください。次の会議はその5つからスタートしましょう。本日はお疲れさまでした。
今回はこのように、参加者たちも驚くほどのスピードで、アイデア出しから絞り込みまでをスムーズに行うことができました。下地さんはこの会議を見ていてどう感じたのでしょうか。率直な声を聞いてみましょう。
下地さん 参加者の皆さんも感じていらっしゃる通り、とても良い会議ができていたと思います。中でも、アイデアを書き出している時に、司会者が「過去にこういうことをやってうまくいった」という例を出し、アイデア出しのハードルを下げていたのがよかったですね。
ただ、もっと欲を言うならば、アイデア出しの時間や絞り込みの時間を司会者が決めてしまうのでなく、「アイデア出しは10分でよさそうですか? もう少し長めにしますか?」などと、常に参加者に問う姿勢があるとよかったかもしれません。そうして「合意形成」をしながら流れを作っていけると、さらにいい会議になったでしょう。
もう1つ付け加えるとすれば、今回は「1人1人がアイデアを書き出してから画面共有」という流れでしたが、せっかくのUniteを生かして「リアルタイムに画面共有をしながらアイデアを書き出していく」という流れにしてみてもよかったですね。隣の人はどんなアイデアを書いているのだろう――ということが分かると、一層安心してアイデアを出せるはずです。
ちなみに、Uniteのようなワイヤレス画面共有システムを使った会議は私にとっても初めての経験でしたが、「会議に“全員参加”している雰囲気を作れること」が最大のメリットだと感じました。ケーブル不要でモニターに接続できることや、資料の投影がスムーズにできることよりも、この“全員参加”というメリットは大きいでしょうね。
下地さんにアドバイスいただいた会議術と、インテル® Unite™の組み合わせで、参加者から面白い意見がぽんぽん飛び出す有意義な会議をすることができました。今回出たアイデアの中から、実際にミライの働き方研究所の記事になるものはあるのでしょうか――今後をお楽しみに!
会社で行う会議と言うと、ついつい「シーン」「ダラダラ」「ギスギス」してしまいがち。そんなダメ会議に悩んでいる皆さんも、はかどる会議術と最新のITツールを使って“究極のディスカッション”に挑戦してみてはいかがでしょうか?
デルの超小型デスクトップPC「Dell OptiPlex 7040 micro」はインテル® Unite™に対応。一般的なモニターやプロジェクタに接続しておけば、共通ネットワーク内にあるノートPCやタブレットの画面を簡単に共有することができます。もちろん、高価な専用機器などは一切不要。あなたの会社でも、OptiPlex 7040 microとインテル® Unite™の組み合わせで「はかどる会議」を試してみませんか?
さまざまな国内企業のダメ会議を目のあたりにし、それらを改善してきた下地さんが「3ステップで良くなる会議術」を指南。今回の記事でご紹介した「シーン会議」改善術のほか、会議で抱えがちな悩みを解消し、よりよいものにするためのノウハウが詰まっています。
時代とともにベストな働き方は変わっていくもの。デルは日本の自社オフィスで、効率と満足度を高めるためのさまざまなワークスタイルを実践。職種や仕事内容が異なる社員1人1人に最適な働き方を追求しています。
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