AP通信の記事の部分転載は“フェアユース”にあらず──米地裁判決
米通信大手Associated Pressが、同社の複数の記事のタイトルと最初の段落、記事へのリンクを顧客向け電子メールで配信しているMeltwaterを著作権侵害で提訴していた裁判で、米地裁がAPの主張を認める判決を下した。
米ニューヨーク南地区地裁は3月21日(現地時間)、米通信大手Associated Press(AP)がノルウェーのオンラインメディアソリューション企業Meltwaterの米支社を著作権侵害で提訴していた裁判で、AP側の主張を認める判決を下した。
Meltwaterは企業向けの情報サービスの一環として、APを含む多数のメディアが公開する記事のタイトルと最初の1段落、記事へのリンクをまとめた電子メールを毎週顧客に配信している。APはMeltwaterにライセンス契約を結ぶよう求めたが、Meltwaterは記事の一部掲載は“フェアユース”(一定の要件を満たせば著作権のある著作物を許諾を得ずに利用しても著作権侵害には当たらないとする米著作権法第107条の条項)の範囲だとしてこれを拒否。APは2012年2月に提訴に踏み切った。
APは賠償金の支払いと、Meltwaterのデータベースに保存されているすべてのAPのコンテンツの削除を求めている。
Meltwaterは、同社のサービスは米GoogleのGoogle News Alertと同様のものであり、フェアユースの範囲だと主張したが、デニス・コート判事は、Google Newsからの記事へのクリックスルー率は56%なのに対し、Meltwaterのメールからの訪問はほとんどなく(0.08%)、Google Newsと異なりMeltwaterのサービスはAPの競合と位置付けられると指摘した。
コート判事はまた、Meltwaterが転載している第一段落は記事の心臓部に当たる部分であること、Meltwaterの競合サービスはAPにライセンス料を支払っていることなどを判決の理由として挙げた。
Meltwaterは声明文で控訴すると発表した。
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