「このまま死ねたらいい」――現実では言えない言葉を伝えるために TCBさん:教えて! 絵師さん
どこか憂いを帯びた人物画が印象的なTCBさん。「このまま死ねたらいい」「性懲りもなく引っ掻き回して、後戻りできなくなった」など、シリアスなタイトルにもドキッとします。
小さいころから絵を描くのが大好きでした。しっかり作品作りを始めたのは中学生の時で、コピックを使用してアナログで作品を仕上げ自作でホームページを作り掲載して楽しんでました。
高校生になってCGイラストや自身の作品を発表できるSNSにも興味を持ち、漫画アシスタントのお仕事や読みきり作品を描いたりしつつ、pixiv等で個人でイラストを発表しはじめました。イラストを見てくださった方から少しずつお仕事をいただけるようになり、今に至ります。
現在はフリーランスのイラストレーターとして活動しており、小説の挿絵や表紙、雑誌でのイラストメイキング、CDジャケット、ソーシャルゲームなどのお仕事をしています。真面目なイラストを描くことが多いので、息抜きでTwitterに自分の趣味満載の絵を投稿することもあります。
作画はノートPCにペンタブレットをつないで、ソフトは主に「SAI」を使っています。昔はデスクトップPCで描いていましたが、冬場に足が寒く、「こたつで作業したい……」と思ったことでノートPCに切り替えました。作業環境が手軽に変えられるので満足しています。
画風は、特定の方に影響されたということはないですね……周りの絵を描く方に少しずつ、でしょうか。イラストではなくコスプレイヤーさんの写真を見て「こういうメイクならこんな感じになるのか」と気付きにつながることもあります。
こだわりは、どこか「影」や「裏」を作ること。人物がただ立っているだけでも、何か考え込んでるような、何か想っているような仕草や表情を作ることで、見ている方に考えていただけるようなイラストを作りたいなと意識しています。あとは、持ち物ですね。例えば下で紹介する作品では、缶コーヒーや赤い華をいれることでイラストが一層深くなるかなと勝手に思っています。
イラストが実際に本や商品になった時ももちろんうれしいですが、1番うれしいのは同人即売会やSNSで直接感想をいただける時です。「絵を描いててよかった、この道に進んでよかった」とひしひし感じます。
教えて! 自慢の1枚
このまま死ねたらいい
性懲りもなく引っ掻き回して、後戻りできなくなった
女性のシリアスな感情を表現するのが好きで、よく作品にしています。現実だとなかなか受け入れてもらえない言葉や感情も絵にすると不思議と相手に伝わる――それも絵を描く理由の1つです。
「紅玉の蜜事」(ハニー文庫)
表紙と挿絵を描かせていただきました。普段現代的なイラストを描くことが多いので、ドレスや貴族を描くことがとても新鮮でした。
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