巨大なイカとタコの化石発見 史上最大級、北海道の白亜紀地層から
史上最大級となる新種のイカとタコの化石が北海道羽幌町の白亜紀後期の地層から見つかった。イカはダイオウイカより大きかった可能性があるという。
北九州市立自然史・歴史博物館(いのちのたび博物館)は、史上最大級となる新種のイカとタコの化石が北海道羽幌町の8500万〜8000万年前(白亜紀後期)の地層から見つかったと発表した。イカは現生のダイオウイカ以上だった可能性があり、発見地にちなんで「ハボロダイオウイカ」という愛称をつけた。
成果はポーランド科学アカデミー古生物学研究所が発行する英文誌「Acta Palaeontologica Polonica」に掲載された。
見つかったのはイカとタコの下あごの化石。イカの化石は2012年7月7日、同館の御前明洋学芸員がアンモナイトの調査中に発見した。タコの化石は1978年に同市博物館開設に向けた資料収集として羽幌町で収集されたもので、11年に御前が化石を取り出すため岩石を割ったところ、巨大なタコの下あごが見つかった。
化石について、東京大学の棚部一成名誉教授と京都大学の生形貴男准教授と共同研究したところ、イカは「ツツイカ」類の新属新種、タコは「コウモリタコ」類の「ナナイモテウティス」属の新種であることが分かった。
イカは約8500万年前のもので、「ハボロテウティス・ポセイドン」(Haboroteuthis poseidon)と命名。下あごは全長は63.1ミリあった。現生のイカと比較すると、ハボロテウティス・ポセイドンの全長は10〜12メートルと、ダイオウイカに匹敵するかそれ以上の大きさだった可能性があるという。
タコは約8000万年前とされ、「ナナイモテウティス・ヒキダイ」(Nanaimoteuthis hikidai)と命名された。下あごのサイズは化石、現生を通じて最大で、胴部の長さが約1.6メートル・全長約2.4メートル程度だったと推定。現生で最大のミズダコは胴部の長さが30センチほどだ。
ほかの化石と合わせ、白亜紀後期の北太平洋で現代型のイカやタコが繁栄していたことを示すもので、イカ・タコ類の進化や同時期の海洋生態系を明らかにする上で重要だとしている。
化石の実物は3月6日から5月10日まで、同館で展示する。
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