“偶像としての女の子”を遠くから りばたさん:教えて! 絵師さん
「名前もわからない、何を考えているかもわからない、偶像としての女の子を描きたい」――制服を来た彼女たち、見てるこちらがいろいろ想像してしまいます。
物心ついた時から絵を描くのが好きで、小学生のころは友達の前でもよく描いていました。当時から女の子を描くのが一番好きだったと思います。中学、高校と進むにつれ、「マンガ的な絵」にコンプレックスを抱くようになってしまい、そういった絵を描くのを避けるようになりました。描くこと自体はやめられなかったので、高校では美術部に入り、大学も美術系を選びましたが、そこでは模様やデザインのような絵を描いていました。
10年以上遠回りをして、本当に好きなものを描こう、とやっと思えたときにはもう20代後半。いろいろ悩んで、全く何も描けない時期も経た後、自然にまた描きたいなと思ったのが、子供の頃描いていたような女の子の絵でした。
はじめは紙にシャーペンで落書きしていただけでしたが、しばらくしてpixivの存在を知り、ペンタブも購入し、本格的にイラストを描くようになりました。技術も乏しく、最初は見ていただけることも決して多くはありませんでしたが、描いて出せる場所があるというだけでうれしかったので、なんとか今日に至るまで続けてきました。もっと早いうちに自分の好きなことと向き合っていれば……と思ったことは何度もありますが、押し込めていた時間が長かったことがかえって今の気持ちの強さにつながっているのかもしれません。
普段は絵と関係のない仕事をしていますが、泊まりがけで出掛ける時や体調不良以外は、ほぼ毎日何かしら手を動かしています。作画は基本的にフルデジタル。PCはLIFEBOOK、ペンタブは「Bamboo Fun」、ソフトはSAI、調整のときだけPhotshopを使います。昨年からアクリル絵の具「ゴールデンアクリリックス」を使ったアナログ絵も少し練習しています。
個人的に描いたものをWeb上やイベントで発表している中で、ご依頼を頂いてお仕事で描く機会も少しずつ増えてきましたが、まだまだ自分の為に描いている時間のほうがずっと多いです。自分の描くものが他の世界とどういった関わりを持てるのか、模索しながら活動しています。
影響を受けた作家さんはたくさん居ますが、女の子の可愛さで憧れたのは村田蓮爾さんです。曼荼羅図などの宗教画や、ミュシャやクリムト、ジャクレーなどの装飾的要素が強い絵を見るのも好きです。その影響で女の子+装飾というのが創作の基本になっています。
イベントや通販などで、見ず知らずの方が私の制作物を手に取って下さったり、感想を下さったりするのはとてもうれしいです。作品を間に挟まないと絶対に発生しない出来事なので。最近は「Tokyo Otaku Mode」で海外向けの通販を行っているのですが、自分自身が行ったことのない国にも、絵だけは届いてるのだなと思うと不思議な感慨があります。本人はものぐさなので行動範囲も狭いのですが、その分絵はいろいろなところに飛んでいって欲しいです。
教えて! 自慢の1枚
少女装×6
制服女子を色々飾り付けるのが好きです。制服はシンプルな白ご飯のようなものなので大抵のものは受け止めてくれる……という思い込みの元描いています。
forget-me-not
装飾要素は控えめで、ストレートに女の子だけで勝負したもの。アナログベースのものをデジタルで仕上げました。
少女信仰5
自作の模様素材などを重ねて仕上げた実験的な作品です。
こだわりと言っていいかはわかりませんが、女の子の内面については考えないようにしています。描いているのは「知らない女の子」。名前もわからない、何を考えているかもわからない。偶像としての女の子を描きたいので、それくらいの距離感がちょうどいいように思います。
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