世界音楽市場、2014年にデジタルが初めて物理メディア超え 定額制ストリーミングの台頭で
2014年の世界音楽市場は、Spotifyなど定額制ストリーミングの加入者増加でデジタルの売上高が初めて物理メディアを超えた。
国際レコード産業連盟(IFPI)は4月14日(現地時間)、2014年の世界音楽市場調査結果を発表した。総売上高はほぼ横ばい(前年比0.4%減)の149億7000万ドル。デジタル(ダウンロードおよびストリーミング)の売り上げ(68億5000万ドル)が初めて物理メディア(レコードおよびCD)の売り上げ(68億2000万ドル)をわずかだが上回った。
デジタルでは、iTunes Storeなどの音楽ダウンロードサービスの売上高は前年比で8%減ったが、Spotifyや米Apple傘下のBeatsのような定額制のストリーミングサービスが39%増加と2013年より更に成長率が上がった。
定額制ストリーミングサービスのユーザー数は46.4%増の4100万人(推定)で、売上高はデジタル市場の23%に当たる16億ドル。
IFPIのフランシス・ムーアCEOは「消費者の要望が音楽を所有することから音楽にアクセスすることへと変化する中、音楽産業のデジタル革命は新たな段階に入った」と語った。
ただし、デジタル革命を成功させるためには、Spotifyなどの定額サービスとYouTubeやDaily Motionのような違法ではないが“フリーミアムな”サービスとの間の“価値のギャップ”問題を解決する必要があるとムーア氏は主張する。
定額制のユーザーが4100万人で以上を売り上げたのに対し、YouTubeだけでも月間アクティブユーザー数が10億人以上であるにもかかわらず、YouTubeを含むこうしたサービス経由の音楽レーベルの収益は定額制サービスの半額にも満たない6億4100万ドルだったという。この問題を解決するには、法律の見直しが必要だとムーア氏は語った。
2015年には、米Google傘下のYouTubeによる「Music Key」(現在はβ)、JAY-Zが3月に立ち上げた「TIDAL」、米Appleが間もなく発表するとうわさされているiTunesとBeatsの統合サービスなどの参入により、ストリーミングの売上高はさらに拡大すると予測できる。
関連記事
- JAY-Zの新ストリーミングサービス「TIDAL」、月額20ドルでスタート
JAY-Zことショーン・カーター氏が、買収するAspiroの有料音楽ストリーミングサービス「TIDAL」の世界35カ国での提供開始を発表した。料金はSpotifyなどの競合の2倍だが、音質は4倍としている。 - ソニー、Spotifyベースの音楽配信「PlayStation Music」スタート
ソニーがSpotifyベースの定額制音楽配信「PlayStation Music」をスタート。Spotifyが進出していない日本では利用できない。 - YouTubeの広告なし有料版「Music Key beta」は月額9.99ドルでオフライン機能付き
Googleが、うわさされていたYouTubeのサブスクリプションサービス「Music Key」のβ版を招待制で公開した。料金はSpotifyと同じ月額9.99ドルで、広告が表示されず、オフライン再生も可能だ。 - Spotify、レーベルには20億ドル以上支払った──テイラー・スウィフトの楽曲引き上げにコメント
SpotifyのCEOが、「音楽は無料ではない」として全楽曲を引き上げたテイラー・スウィフトに対し、「Spotifyも音楽が無料だなどと考えていない。現にレーベルや音楽出版社には累計20億ドル以上支払った」と説明し、クリエイターに相応な対価が届いていないとすればそれは問題だと語った。 - 音楽の世界市場、定額制サービスで成長へ 日本は対照的・大きく落ち込む 2013年
国際レコード産業連盟(IFPI)によると、13年の世界音楽売り上げは日本を除くと前年比横ばい。定額制サービスが世界市場を支え始めている一方、パッケージ依存の日本は大きく落ち込んだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.