Spotify、レーベルには20億ドル以上支払った──テイラー・スウィフトの楽曲引き上げにコメント
SpotifyのCEOが、「音楽は無料ではない」として全楽曲を引き上げたテイラー・スウィフトに対し、「Spotifyも音楽が無料だなどと考えていない。現にレーベルや音楽出版社には累計20億ドル以上支払った」と説明し、クリエイターに相応な対価が届いていないとすればそれは問題だと語った。
4大レーベルの音楽を提供するスウェーデンのストリーミングサービスSpotifyのダニエル・エクCEOは11月11日(現地時間)、人気アーティストのテイラー・スウィフトが同サービスから全楽曲を引き上げたことに関し、「Spotifyはアーティストの味方だ」と主張する長文のブログを公開した。
テイラー・スウィフトは11月3日、最新アルバム「1989」を含む全楽曲をSpotifyから引き上げた。同氏は7月、Wall Street Journalへの寄稿で「音楽は芸術であり、価値がある。音楽は無料であるべきではない」と主張していた。
エクCEOはブログの冒頭でまず、「テイラー・スウィフトは完全に正しい。音楽は芸術であり、アーティストは対価を支払われるべきだ」とし、「われわれは海賊行為からアーティストを守り、音楽ファンとアーティストを結び付けるために存在している」と語った。
Spotifyのサービスには、年額120ドルのサブスクリプション制の有料サービスと音声広告ベースの無料サービスの2種類がある。Spotifyによると、月間アクティブユーザー数は5000万人で、そのうち1250万人が有料会員だ。
エク氏は、Spotifyは音楽が無料だなどと考えておらず、スウィフトを含む人気アーティストには年額600万ドル以上の著作権使用料を支払っていると述べた。同社は2008年の立ち上げ以来、累計20億ドルを音楽レーベル、音楽出版社、著作権管理会社に支払ったという。「もしその20億ドルが(アーティストなどの)クリエイティブな人々に流れていないとすれば、それは大きな問題だ。透明性強化のために、業界と協力していく用意がある」とも語った。
「テイラー・スウィフトの「1989」はリリースの週に120万枚を販売する記録的なヒットとなった。(中略)かつてはこうしたヒットが毎年複数あった。だが、そんなことはもう起こらない。人々が音楽を聴く習慣が変わり、元に戻ることはない。(中略)テイラーがSpotifyから楽曲を引き上げても、人々はYouTubeやSoundcloudで無料で彼女の楽曲を聴くのだ。(P2Pサイトの)Pirate Bayの先週のトップは1989だった」(エクCEO)
同氏はまた、Spotifyの有料会員の多くが最初は無料会員としてサインアップしており、無料サービスは有料サービス拡大で重要な役割を果たしていると説明した。「サービスが拡大するにつれ、アーティストへの支払いも増える。(中略)われわれは音楽ファンに再び音楽の対価を支払わせている。(中略)われわれはただのストリーミングサービスではなく、今や“メイン”ストリーミングサービスであり、これは世界中の音楽メーカーと音楽愛好家の双方にとって良いことだ」としている。
関連記事
- Apple、Beats MusicをiTunesに統合か──Wall Street Journal報道
Appleが来年にもBeats MusicをiTunesブランドのサービスに統合するとWall Street Journalが報じた。 - 米音楽市場、急成長のストリーミングがダウンロードを侵食──Nielsen調べ
Nielsenが半期ごとに発表している米音楽市場調査によると、音楽のストリーミング回数は前年同期比50%増加した一方、ダウンロードや物理CDでの音楽購入は減少を続けており、楽曲ダウンロードとストリーミングをアルバムに換算したものも含めた総合的なアルバム販売は3.3%減少した。 - ストリーミングサービスSpotifyの有料会員が1000万人突破
日本でのサービス提供が待たれる音楽ストリーミングサービスSpotifyのサブスクリプション会員が1000万人を突破した。無料会員も合わせると、4000万人以上という。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.