セキュリティ企業のP2P監視サービス管理者逮捕 ウイルスを「Share」に保管 会社は反論
Shareにウイルスを保管していたとして、セキュリティ企業でP2P監視サービス担当していた社員が逮捕。会社は「ウイルスの取得・保管は、ファイル流出監視サービスを行うという正当な理由に基づいている」と反論している
ファイル共有ソフト「Share」にウイルスを保管し、第三者がダウンロード可能な状態にしていたとして、京都府警サイバー犯罪対策課などは10月31日、セキュリティ企業・ディアイティ(東京都江東区)社員の男(43)を、不正指令電磁的記録保管の疑いで逮捕した。
ディアイティは11月1日、「ウイルスの取得・保管は、ファイル流出監視サービスを行うという正当な理由に基づいている」とWebサイトで見解を発表し、逮捕容疑に反論している。
逮捕されたのは、企業から依頼を受け、ShareなどP2Pファイル交換ソフトに情報が流出していないかを監視するサービスのシステム管理者。
京都府警によると男は10月10日ごろ、Shareをインストールした端末に、他人がダウンロードできる状態でウイルスを保管していた疑い。スクリーンセーバーを偽装したウイルスで、感染した人のPC内の文書ファイルなどを流出させる仕組みという。
ディアイティによると、P2P監視業務中に、ウイルスが含まれているファイルを取得することもあり、一時的にShareに保管していたという。「ファイルの一時保管は、P2P監視サービスの実現のために最低限必要なこと。アップロードフォルダは作っておらず、アップロードする意図はなかった」と同社の担当者は説明する。
同社は公式サイトトップページに三橋薫社長名で反論を掲載しており、ウイルスの取得・保管は「正当な理由に基づいている」「取得・保管したファイルを他人のコンピュータにおいて実行の用に供する(他人の端末感染させる)目的はない」と、逮捕容疑に反論している。
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