チケキャン問題「真摯に反省」、ミクシィ森田社長 「もう少し早めに経営判断できた」(2/2 ページ)
ミクシィの森田仁基社長が2月14日、決算説明会で「チケットキャンプ」問題について「真摯に反省し、再発しないよう考える」とコメントした。
チケットキャンプの「VIP会員」とは?
こうした対応の遅さの要因の1つには、調査報告書が指摘する「VIP会員」の存在がある。チケットキャンプでは、チケットの取引量が多い出品者などをVIP会員とし、手数料を割り引く制度が設けられていたという。
しかしVIP会員の存在は利用規約に明記がなく、買収当時ミクシィは会員の存在を認識していなかったという。ミクシィが把握したのは買収からしばらくたった16年10月で、森田社長は「(把握した時点で)法的に良いか悪いかは判断できなかった。しかしチケットキャンプは多くのお客さまに使っていただける中立的な立場であるべきと思っていたので、法的な観点はともかくとして、私個人としてはそうした制度は廃止したほうがいいと考えていた」と話す。
前述の通り、同社の荻野取締役がチケット転売問題に言及したのは16年11月。VIP会員の存在を認識した翌月にもかかわらず、その時点では公表しなかった。森田社長は「この件は第三者委員会からも指摘があり、もっと早くに公表できた可能性があったと反省している。今後こうしたことがないよう、生かしていきたい」と話した。
ミクシィがVIP会員制度廃止を決めたのは17年夏ごろというが、一部のVIP会員について警察から捜査照会を受け、「捜査に影響するのですぐに廃止しないでほしいという要請があった」(森田社長)ため、実際に廃止したのは17年12月になったという。
17年夏ごろには、音楽業界団体が転売への制限を求める動きがあったが、VIP会員の捜査照会とこの動きとは「直接の因果関係はない」(森田社長)としている。
「VIP会員を廃止するため、いろいろな専門家に意見を求めながら動いていたが、その過程の中で音楽業界とも話し合いを行っていた。直接の因果関係はないが、当社はチケットキャンプの健全化を図るために動いていた」(森田社長)
健全化を目指す中で発覚した「違反」と「書類送検」
しかし、そうした動きもむなしく、ミクシィは17年12月、フンザがチケットキャンプのWebサイト上の表示を巡り、商標法違反と不正競争防止法違反の疑いで警察の捜査を受けたと発表することになる。その後、外部委員会の報告を受け、18年5月末にサービスを終了する方針を発表した。
サービス終了発表で落ち着くかと思われた「チケットキャンプ問題」だが、18年1月にフンザの前社長が詐欺の共犯容疑で書類送検され、ミクシィは新たに第三者委員会を設立することになった。ミクシィは2月7日付で第三者委員会から報告書を受け取り、内容を精査して「ミクシィの方針と合わせて速やかに発表する」としていた。
フンザ前社長の書類送検については現在捜査中で、結果が分かり次第あらためて報告するとしている。
今後は、ミクシィの他子会社や事業でこうした問題が起きないよう「レピュテーションリスクを意識した経営判断を行う体制作り」を目指す。具体的には、社外取締役を含む取締役相互の情報共有、取締役会・監査役会への適時報告などの他、子会社の運営面では情報収集体制の強化、内部監査室の増員、子会社管理部署の新設などを検討する。
チケットキャンプを失ったミクシィ、今後のメディア事業は
チケットキャンプは、ミクシィが“メディアプラットフォーム事業の柱”として育てていた事業でもある。それを失った今「早急に次の策を考えなければならない」と森田社長はいう。
現在、フォトブック作成サービス「ノハナ」や子ども写真共有アプリ「みてね」といった既存事業の成長を見込む他、“仕込み”を始めている新規事業もあるという。「新規事業を行うに当たっても、法的リスクだけでなくレピュテーションリスクを検討した上で進めていきたい。われわれが事業展開に消極的になることはない」(森田社長)
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