JASRAC、音楽教室から著作権料徴収 4月1日分から
JASRACが音楽教室からの著作権料徴収を4月1日分から始める。音楽教室側が徴収の保留を求めていたが、文化庁長官が「保留を行わない」との裁定を出したため。
日本音楽著作権協会(JASRAC)の著作権料徴収に反対する組織「音楽教育を守る会」が徴収の保留を求めていた件で、文化庁長官が3月7日、保留を行わないとの裁定を出した。裁定を受けJASRACは8日、音楽教室などへの案内期間を考慮し、4月1日分から徴収を始めると発表した。
守る会は2017年12月、徴収の保留を求めて文化庁に裁定を申請。裁定手続きが始まり、JASRACは18年1月に開始予定だった徴収を一時保留にしていた。また守る会は17年6月、JASRACの徴収権限がないことを確認する訴訟を東京地裁に提起している。
文化庁によれば、現行法では著作権管理事業者などの使用料規定は「届け出制」で、届け出書類に不備がなければ受理する決まり。同庁の判断は「あくまでも使用料規定に定める事項にとどまる」とし、「徴収権限があるか」という判断には立ち入れないという見解だ。ただ、地裁の判断が確定するまでは、徴収に応じない音楽教室には督促しないよう配慮を求めている。JASRACの浅石道夫理事長は「公正で適正な裁定である」と話した。
裁定を踏まえ、JASRACは4月1日から適用を始める。当面は、楽器メーカーや楽器店が運営する音楽教室を対象とし、こうした教室の管理水準が一定レベルになるまで、個人が運営する教室は対象外にするという。9月30日までに契約申請書を提出した事業者には、1年間に限って使用料の10%を減額する。
JASRACの大橋健三常務理事は「裁定直後からの徴収は唐突であり、案内や周知を行うため、4月1日を開始時期とした」と説明している。「社会的混乱を回避し、バランスを取りながら管理を推進していく。疑義を呈する事業者を個別に狙い撃ちするような督促は避ける一方、継続的な案内を続ける」(大橋氏)
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