Twitterで人は真実よりうそを早く、多くシェアする──MIT論文
Twitterでは虚偽ニュースの方が真実ニュースより早く、広く拡散していくと、MITの研究者らが実際の大量のツイートデータを解析した結果に基づいて発表した。
虚偽ニュースはTwitter上で真実よりも早く、広く拡散していく──。米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らは3月9日(現地時間)に学術誌「Science」で発表した論文でそう指摘する。
また、botよりも人間の方が虚偽ニュース拡散で大きな役割を果たしているとも指摘する。
この論文は、2006年〜2017年にツイートおよびRT(リツイート)された虚偽/真実と検証済みのニュース記事の差分拡散を調査した結果をまとめたもの。対象としたデータは、約300万人が450万回以上ツイートした、約12万6000件の「カスケード」(オリジナルツイートとそれに続くRTのまとまり)で構成される。
これらのツイートを、6つのファクトチェック団体が真実か虚偽かを検証したものに分け、それぞれの拡散について追跡した。
虚偽ニュースは、オリジナルは少なくても、そのRTの連鎖が数万人に届く傾向がある。一方、真実ニュースは1600人以上に届くことはなかった。また、真実ニュースが1500人に届くには、虚偽ニュースの6倍時間がかかった。全体的に、虚偽ニュースは真実ニュースより70%多くRTされる。
下のグラフは、縦軸に時間、横軸にユーザー数をとった、RT連鎖が拡散する速度を示すものだ。緑が真実ニュースのRT連鎖を、赤は虚偽ニュースのRT連鎖を表す。真実ニュースは1600人までで拡散が止まり、虚偽ニュースは4万7000人に届いた。
この調査では、最初はbotによるツイートは排除していたが、後から追加したところ、botによるRTは虚偽と真実がほぼ同数だった。つまり、虚偽ニュースを真実より多くRTしていたのは人間だったということになる。
研究者らはこの結果から、虚偽ニュース対策は、botの削除に焦点を当てるのではなく、人間に虚偽ニュース拡散を思いとどまらせるためのラベリングやインセンティブなどの行動介入に注力する必要があると指摘する。
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