新世代EIZOディスプレイ「FORIS FS2333」が“超見える”理由暗部が浮かび上がる新技術“Smart Insight”の開発者に聞く(4/4 ページ)

» 2012年06月18日 10時00分 公開
[ITmedia]
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ディスプレイだからできること、EIZOだからできることへの挑戦

―― Smart Insightの根底に流れる思想と内部処理の理論的な話をうかがうと、Smart Insightが暗部を明るく見やすくしつつも、暗部から明部までかなり自然に再現できていることに改めて納得できました。

 昨今はAV機能を重視した液晶ディスプレイも多いですが、どうしても高画質化技術はテレビの後追いといった印象がぬぐえません。その点、Smart Insightはテレビの高画質化技術とは違った視点で、ディスプレイならではの価値を提供しているのがユニークです。こうした技術を率先して導入してくるところにEIZOのプライドを感じます。

北氏 今回の技術は特にお客様からの要望で実装したわけではありません。あくまで我々の画作りの思想であるMake Scene Aliveの一環として用意した新しい提案です。Smart InsightのベースとなるTone Mappingという技術は数年前から学会などで話題になっていたので、その調査は数年前から行ってきました。そして昨年の社内技術展示会に出展したところ、技術展示のアンケートで1位を獲得し、一気に商品化につながったという経緯があります。

 Smart Insightは昨年のSmart Resolutionに続く第2弾になりますが、FORISはMake Scene Aliveを一番体現しやすいカテゴリーなので、今後も新しい価値を積極的に提供していきたいですね。

 今回のSmart Insightをはじめ、さまざまな技術と機能を実現するにあたり、ファームウェアだけでは対応できないことも多いのです。特に、Smart InsightやSmart Resolutionのように映像信号を遅延なくリアルタイムで処理したい場合、ハードウェアの力も借りないと実現は困難になります。そこに、我々がオリジナルの映像エンジン(ASIC)を作り、専用基板を起こし、といった意義が生まれ、それは今後も続いていくと考えています。

EIZOディスプレイでは、さまざまな高画質化技術を独自の映像エンジンに統合している

北氏 ディスプレイがCRTから液晶の時代になって、デジタルの世界では差異化が難しいとも言われていますが、例えば液晶パネルを見ても、中身はドロドロの液晶分子であって、0か1かでデジタル的に瞬時に切り替わるわけではありません。温度によっても特性が変わりますし、電源を入れた後は表示が安定するまでしばらく時間がかかります。デジタルだから安定した色や表示が出るかというと、そうではありません。

 安定した表示を実現するためには裏でいろいろな補正をかけたり、長年の蓄積やディスプレイメーカーならではの表示技術があるのです。今後もEIZOという名前を出すからには、ほかとは違う価値を提供したいと考えています。

安倍氏 やはり、EIZOはマジメなところがいいと思っています。しっかりした思想に基づいて製品作りをしているのがウリですね。EIZOは今後もディスプレイだからできること、ディスプレイでしかできないことを究めていきます。ぜひFORIS FS2333のSmart Insightをお試しください。

―― ありがとうございました。

Smart Insightだけじゃない! FORIS FS2333の強化ポイント

 本記事では、EIZOの23型フルHD液晶ディスプレイ「FORIS FS2333」が搭載するSmart Insightにフォーカスしたが、それ以外にも前モデル「FORIS FS2332」からの強化点は少なくない。

 まずボディデザインは、前面の着せ替えカラーシートを継承しつつ、より角度調整がしやすいスタンドを採用。チルトに加えて、従来はできなかったスイベル(左右各172度)と高さ調整(60ミリ)に対応したほか、持ち運びに便利なハンドルが背面の上部に付いた。

 細かいところでは背面にラインアウト端子が増設され、HDMIから入力した音声を外付けスピーカーに出力することもできる。もちろん、2系統のHDMI、DVI-D、アナログRGBの4系統入力は健在だ。

 リモコンも大型化し、Smart InsightやSmart Resolutionの設定メニューを直接開ける「Smart」ボタンが用意されたのはありがたい。ちなみに、従来はSmart Resolutionの中に動画領域の自動判定機能が含まれていたが、今回はSmart Detectionとして独立した機能という位置付けになった。Smart Insight、Smart Resolution、Smart Detectionの3つが組み合わさったFORIS FS2333は、まさにSmart Monitorと呼ぶにふさわしい。

 ゲームや動画の表示においては、応答速度の高速化も目立つ。中間階調の応答速度を高速化するオーバードライブの進化により、最速で3.4ms(GTG)の高速応答を実現しているのだ。IPS方式の液晶パネルを搭載したディスプレイにおいて、中間階調域で3.4msという応答速度は最速となる(2012年6月時点の国内コンピュータ用カラー液晶ディスプレイにおいて。ナナオ調べ)。Smart Insightとともに動きの激しいゲームタイトルで試してほしい。

 そして、こうしたアップグレードを果たしながら、実売価格はFORIS FS2332から据え置きの3万円台におさまっており、5年間無償保証まで付いてくる。これまでの5年間無償保証は液晶パネルの保証期間のみ3年間だったが、FORIS FS2333からは液晶パネルも含めた5年間保証(製品使用時間は3万時間以内)が付与された。さらに高いコストパフォーマンスを手に入れたエンターテインメント液晶ディスプレイの新定番として、今年も人気を集めそうだ。

高さとスイベルの調節に対応し、ハンドルも付いた新デザインのボディ(写真=左)。新たにラインアウト端子も用意された(写真=中央)。リモコンは大型化し、左下に「Smart」ボタンが搭載されている(写真=右)



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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日