Let'snoteのUltrabookが「乞うご期待」な理由:同じUltrabookでは面白くありませんから(1/3 ページ)
薄くなった(従来比)“SX1”の出荷式を行うほどに気合が入る2012年のLet'snote。同社関係者もびっくりしたという「Ultrabook、乞うご期待」発言の真意を聞く。
「2012年はLet'snoteの大きな転換点になる」
パナソニックのノートPC、Let'snoteシリーズやTOUGHBOOKシリーズを手がけるのが同社AVCネットワークス社ビジネスソリューション事業グループだ。社内で“BSU”と呼ぶこの部隊が、Let'snoteシリーズの製品企画、開発、そして、製造と販売まで一括して担当する。そのリーダーとなるビジネスユニット長に、2011年の7月に就任したのが原田秀昭氏だ。
技術部門の出身者が続いたこのポストに営業部門の出身者が就いたことで注目されたが、原田氏が就任する以前から、“Let'snoteで最高のモデル”とパナソニックの開発者も言い続けてきた“R”シリーズを終わらせて新たに“J”シリーズが登場し、同じく軽量薄型で光学ドライブを内蔵する“W”シリーズを“S”シリーズに切り替え、そして、“第4世代のLet'snote”では、このシリーズのデザインで象徴といえる天板の「ボンネット」を極力低くしてボディの薄型を目指した「SX1」「NX1」を投入した。
このように、原田氏が率いるパナソニックのノートPC事業は、2012年に大きく変わりそうな兆しを示している。Let'snoteはどこに向かおうとしているのか。神戸工場でLet'snote SX1の出荷式を終えたばかりの原田氏と、販売戦略を担当する国内営業グループグループマネージャーの向坂紀彦氏、そして、市場開発グループグループマネージャーの加茂理氏に聞いた。
NetbookがLet'snote Rシリーズに与えた影響
──Let'snoteの象徴的でもあった“R”シリーズを終わらせて、“J”シリーズを投入したときの、開発担当者の考えはどのようなものだったのですか。
原田秀昭氏(以下、原田) 第1世代で導入した「軽量」と「長時間バッテリー」の2点突破で続けてきたLet'snoteの遺伝子を継承してきた“R”シリーズにピリオドを打った理由には、当時出現したNetbookが影響しています。10型のディスプレイサイズを搭載するノートPCにおけるRシリーズの立ち位置というのを変化させていかなければならない、というのがLet'snote関係者にありました。
もちろん、堅牢であって、長時間バッテリー駆動が可能で、かつ、軽量というRシリーズの優位性はありました。しかし、Netbookによって変わっていくユーザーの希望に合わせて10型ディスプレイ搭載ノートPCも変化していかなければならない。こういう経緯で投入したのが“Jシリーズ”でした。
Jシリーズで導入した変化は、商品的な内容では“ジャケット”もありましたが、それ以上に、標準電圧版(TDP 35ワットクラス)CPUの搭載です。超低電圧版のCPUを搭載していたボディサイズで、標準電圧版のCPUを搭載するのはできないだろう、ということが技術的な突破口になりました。その上で、ボディの厚みも変化させたいが、堅牢性も保たなければならない。そういうことでジャケットも用意しました。こうして、Jシリーズは、かなり“変化”を取り入れたモデルになったとパナソニックは考えています。
ジャケットの導入によって、当時はほとんどがプロフェッショナルモバイル需要だったLet'snoteのユーザー層においても、年齢層を下げて女性にも使っていただきたいと、いままでのLet'snoteで集中していたセグメントから違うセグメントに指向しました。しかし、RシリーズからJシリーズの変化は、マラソンでいうと、まだ10キロ走ったところぐらいでしょう。そこで、Jシリーズから次にどう進化するのか、次の一手が私に求められているところなのです。
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