「VAIO S11」徹底レビュー これぞ待望のSIMフリーLTEモバイルノートPC:本日発売!(1/7 ページ)
SIMロックフリーLTE対応、小型軽量タフボディ、第6世代Core+PCIe SSD、USB 3.1 Type-C/Thunderbolt 3、見やすい液晶と打ちやすいキーボード、長時間バッテリー駆動……年末に本命モバイルノートPCの登場か?
ココが「○」 |
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・小型軽量と高剛性の両立 |
・SIMロックフリーLTEを搭載 |
・独自のプリペイドSIMを用意 |
・高品質ながら価格は11万円台から |
ココが「×」 |
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・映像出力がUSB Type-CとD-Subのみ |
・強化樹脂ボディの質感は金属に譲る |
・タッチパネル液晶の選択肢がない |
ジャストA4サイズに先進装備と独自のこだわりを満載
2015年の年末商戦に向けて、注目すべきPC新機種は出尽くしたかと思ったが、ここへ来てVAIOが魅力的な新モデルを投入してきた。それが12月9日に発表された新開発の11.6型モバイルノートPC「VAIO S11」だ。
ボディはジャストA4サイズ以下、重さ約920〜940グラムと持ち運びやすいだけでなく、同社のハイエンドノート「VAIO Z」やタフモバイルノート「VAIO Pro 13 | mk2」の設計思想を引き継ぎ、入力環境や堅牢性を含めてさまざまなこだわりが詰め込まれている。モバイルPCに求められるスタミナについても、公称値で約15時間(JEITA 2.0)のバッテリー駆動時間をうたう。
PCとしての基本性能や機能も抜かりがなく、第6世代Coreプロセッサ(開発コード名:Skylake)、高速なPCI Express接続SSD、Thunderbolt 3(USB 3.1対応USB Type-Cポート兼用)などの先進スペックを採用しつつ、日本のビジネスシーン向けに需要の高い端子類も兼ね備えている。
そして大きな特徴が、SIMロックフリーLTEに最適化したモバイルノートPCであることだ。本体にSIMロックフリー対応のLTEモデムを内蔵しつつ、アンテナの配置や内部構造、ボディの素材など至るところで受信感度を高める工夫を行い、さらにはPCユーザーにとって使いやすいプリペイド式の格安SIMプランも独自に用意した。
これらの仕様によって、小型軽量かつ堅牢ボディで持ち運びやすく、性能や機能にも不足がなく、そしてどこでもネットにつながるという、ビジネスユースでのヘビーな運用にも耐えうる小型モバイルノートPCに仕上がっているのだ。
店頭販売向けの標準仕様モデルは、3色のカラーバリエーションと内蔵LTEモデムの有無が異なる合計6モデルを用意。また、購入時の仕様変更に対応したカスタマイズモデルをソニーストア、および新設した自社の直販サイト「VAIO STORE」で販売する(VAIO STOREではLTEオプション固定)。直販モデルの最低価格は11万4800円(税別、以下同)と、求めやすい価格帯から選べるのもうれしい。
今回は、LTE搭載でホワイトボディの標準仕様モデル「VJS11190511W」(実売15万9800円前後)を入手して1週間ほど使用したので、性能や使い勝手をチェックしていこう。なお、使用したのは試作機なので、実際の製品と異なる場合がある。
小型軽量だけではない、運用レベルの快適さを求めたボディ
ボディの設計は、ソニー時代に開発された従来の11.6型モバイルノートPC「VAIO Pro 11」からフルモデルチェンジしている。本体サイズは約284(幅)×190.4(奥行き)×16.4〜19.1(高さ)ミリ、重量は約940グラム(Wi-Fiモデルは約930グラム)だ。VAIO Pro 11とのサイズ比較を表にまとめたが、奥行きが少し短くなっている一方、厚みと重量は増した。
VAIO S11とVAIO Pro 11の比較 | ||||
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製品名 | 本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 重量 | バッテリー容量 | ボディ素材 |
VAIO S11 | 約284×190.4×16.4〜19.1ミリ | 約930〜940グラム | 38ワットアワー | 強化樹脂 |
VAIO Pro 11 | 約285×197×11.8〜15.8(タッチパネル搭載:13.2〜17.2)ミリ | 約770(タッチパネル搭載:約870)グラム | 32ワットアワー | カーボン、アルミ、強化樹脂 |
先代VAIO Pro 11とのサイズ比較。設計思想の変化に伴い、厚みと重量は増した |
より薄型軽量を望む声もあるだろうが、こうなったのはVAIO Pro 13 | mk2と同様、ビジネスユーザーのフィードバックを反映したことが大きい。アナログRGB出力(D-Sub)や有線LANといった日本のビジネスシーンでまだ需要の高いレガシーな端子を標準装備するとともに、堅牢性の向上、心理的な不安までケアする長時間バッテリー駆動を目指してバッテリー容量を増やすなど、ビジネス運用レベルの完成度を高めているのだ。
また、ビジネスマンだけでなく女性や学生を含めて幅広いユーザーを想定して価格設定も戦略的に抑えめにしており、カーボンやアルミニウム合金などで過剰なコストをかけるのは得策ではないという事情もあったのだろう。VAIO S11は後述するLTEの受信感度を高める目的もあり、電波を通しにくい金属ではなく、強化プラスチックのボディを採用している。
それでも、1キロを「少し切る」ではなく「大きく下回る」重量は、クラムシェルノートPC全体の水準から見ても十分に軽量であり、タイプカバーを装着した「Surface Pro 4」の約1096グラムよりも軽い。落としどころとしては絶妙ではないだろうか。
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