iPhone SEに見た先進性とレガシーの美しき共存:林信行がiPhone SEを徹底レビュー(1/2 ページ)
最新テクノロジーをまとい過去の資産も継承したiPhone SEを林信行氏がチェック。サードパーティ各社の人気ケースも紹介。
小型iPhoneユーザー待望の新製品
取った手にスッポリ収まるサイズ、それでいてiPhone 6sの性能。iPhone SEがいよいよ発売となる。
大画面のiPhone 6s/6s Plusのサイズには慣れられず、4Kビデオ撮影やライブフォトなどの最新機能をちょっとうらやましがりながら、これまでiPhone 5やiPhone 5sでガマンしてきた人にとっては待望の最新機種であり、ぜひともお勧めしたい1台だ。
手の腹にちょんとのせ、持った手と反対側のキーにもしっかりと指が届き、もう一方の手を添えずに片手だけで文字入力ができるあのサイズ感はもちろん、手のひらで感じる本体の感触までiPhone 5sそのまま。
かつのてiPhone 4/4sシリーズ、5/5sシリーズがそうだったように、フラットな底面や側面を生かして平台の上に自立させてのセルフタイマー撮影も可能。それでいて新しい喜びも満載、それがiPhone SEだ。
これから満開になる桜の花びらのような新色、ローズゴールドの本体色の愛らしさはもちろん、現在、世界の街角のそこかしこに張り出されたAppleの広告で使われているような大判印刷にも十分耐えるiPhone 6s品質の写真が撮れることはもちろん、未来に残したい映像を“未来基準”の4K解像度で撮影できる動画機能もうれしい。
だが、なんと言ってもありがたみを感じるのは、Touch IDでの本体の解錠から、アプリの切り替えや起動、操作、さらには通信のスピードまですべて隔世の感があるほどに向上していることだろう。
それもそのはず、iPhone 5sで使われていたA7と呼ばれるCPUに対して、iPhone SEはその後、A9と呼ばれる2世代後の大幅に進化し、高速化したCPUを採用しているのだ。iPhone SEの登場で悩ましい思いをしているのは、既にiPhone 6/6 Plusあるいは6s/6s Plusに移行済みのユーザーだ。
筆者もその1人で、最近では6sでも片手で文字が入力できるようになり、何かあるときに写真などが気持ちよい大きさで閲覧できる4.7型の大型(中型!?)画面サイズに満足している。
片手文字入力はとっくにあきらめて、5.5型の見やすく読みやすいiPhone 6 Plus、6s Plusに移行し満足できた人は、おそらくiPhone SEは検討の対象外だろう。
一番悩ましいのはiPhone 6と6sのユーザーだ。もし、これらの機種でやはり文字入力に慣れられない、という人は、iPhone SEはよい選択肢かもしれない。一方、文字入力にも慣れてきて、映像やWebページを見るのにも4.7型が快適と思い始めている人は、慌てることなく(おそらく秋ごろに)iPhone 6s/6s Plusの後継機が出てくるのを待ってから決断してもいいはずだ。
iPhone SE、6s、6s Plusの最新3モデルは、どれがより先進的、どれがよりよいなどと、答えが1つに出るモノではない。人によって違う答えに対して、Appleが真摯(しんし)に耳を傾けて用意してくれた充実のバリエーションであり、いずれ劣らぬ素晴らしい製品に仕上がっている。
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