Facebookが描く今後10年の成長戦略とは?:文字、写真、動画、そしてVRへ(1/3 ページ)
Facebookの年次開発者イベント「F8」。マーク・ザッカーバーグCEOは、Facebookのこれまでとこれからをプラットフォーム、プロダクト、テクノロジーの3つに分けて語った。
2016年4月12日から13日(現地時間)に、米サンフランシスコ・フォートメイソンセンターで、Facebookの年次開発者イベント「F8」が開催された。基調講演に立ったマーク・ザッカーバーグCEOは、Facebookのこれまでとこれからを、プラットフォーム、プロダクト、テクノロジーの3つに分けて紹介した。
Facebookの方法論
Facebookの10年の成長戦略について象徴的に紹介したスライドは分かりやすかった。
まず自社の事業について、プラットフォームとしての「Facebook」、プロダクトとしての「ビデオ」「検索」「グループ」「メッセンジャー」「Instagram」「WhatsApp」、テクノロジーとしての「コネクティビティー」「AI(人工知能)」「VR/AR(仮想現実/拡張現実)」という分類を行った。
そして、テクノロジーからプロダクトを作ったり刷新したりし、プラットフォームの充実を行うという方法論を示した。
例えば、これまでテキストを共有してきたユーザーは、写真を共有するようになり、それに適したアプリとしてInstagramを用意した。写真がだんだんビデオになり、今では360度撮影のビデオを共有して、VRを手軽にFacebookの友人にシェアできる。
テクノロジーの発達は、Facebookプラットフォームでつながる人々が、日々のFacebookでのコミュニケーションをいかに楽しむかを変化させていく。Facebookがテクノロジーに注意深く取り組む理由も、コミュニケーションの進化に直結するからだ。
また、プラットフォームとプロダクトの関係性も面白い。例えば、人々のコミュニケーションをとってみても、アプリという形で、さまざまなニーズをカバーしている。
1対1のコミュニケーションはWhatsApp、グループコミュニケーションまでカバーするFacebookメッセンジャー、友人関係を記述しているFacebook、公開・非公開のグループ機能、そして世界と写真を共有するInstagram。
こうしたさまざまなサイズのコミュニケーションが、プラットフォームとしてのFacebookに乗っているのだ。世界中の人々が、さまざまな目的でFacebookを利用している現在において、現状、十分なプロダクトがそろっているような印象を受けた。
世界中の人々がFacebookを使えるようになるため
今回のF8の基調講演で強調していたのは2つ。しかも双方とも関係が強かった。
まず1つ目は「コネクティビティー」だ。4G LTEの恩恵を受けているのはごくわずかで、まだモバイルインターネットを満足に利用できていない人々が世界中にいる。オンラインではない人々はまだ地球上に41億人もいるのだ。
Facebookは既に10億人規模のコミュニティーを形成しているが、果たしてこれが「世界中の人々が使う」と言えるだろうか。そんな疑問を投げかけ、解決に向けての活動をアピールしたのだ。
Facebookは、モバイルインターネットがまだ利用できない地域に対して、無人飛行機や衛星を飛ばして回線確保の活動を行ったり、2G回線で無料でモバイルWebサービスを利用できるようにする「Free Basics」を展開したりしている。後者については、37カ国2500万人の人々が、その恩恵を受けるようになったと説明する。
また、言語の壁の解決にも取り組んでいる。第1言語がオンラインでサポートされていない人々は20億人おり、彼らはたとえオンラインに慣れても、満足にサービスを使えない状態が続く。Facebookは既に90以上の言語をサポートしており、インターネットのインフラとともに、コミュニケーションの断絶を埋める取り組みが続く。
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