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「USB 3.2」で何が変わる? 知っておきたい2018年のPC注目技術(1/3 ページ)

2017年は特にPCのハードウェアが大きく進化した1年だったが、2018年はどうだろうか。2018年の製品に導入されることを期待したい注目技術をまとめる。

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 2017年は新世代のプロセッサやUSBまわりなど、PCのハードウェアを構成するパーツが大きく進化した1年だったが、2018年はどうだろうか。この1年で実際の製品へ導入されることを期待したい注目技術をまとめた。

転送速度が最大2倍になる「USB 3.2」

 USB仕様の策定管理団体であるUSB Implementers Forum(USB-IF)は、USBの新しい仕様「USB 3.2」を策定し、2017年9月に仕様書を公開した。

 従来のUSB 3.1からUSB 3.2への主な変更点は、デュアルレーン動作のサポートだ。同時に2組(送受信で4組)の信号線で転送することで、従来の2倍、最大20Gbpsの速度でデータ転送が可能になる。

USB 3.2
USBの通信速度は、転送モードを追加する形で拡張してきたため、新しい規格では過去の通信速度を全てサポートする

 このデュアルレーン動作は「USB Type-C」のケーブル(ケーブルの両端がType-C)が前提だ。もともとUSB Type-Cには片道10Gbpsで通信できる信号線が4組(8本)用意されている。従来はそのうちの2組(送信1組、受信1組)だけを利用していたが、デュアルレーン動作の際は、空いていた2組を加えた4組で通信を行う。

USB 3.2
「USB 3.2」のデュアルレーン動作は「USB Type-C」のケーブル(ケーブルの両端がType-C)が前提となる(画像はUSB-IFより)

 もっとも、シングルレーンの10Gbpsでも現在は持て余しているような印象だ。性能にこだわるハイエンドユーザー向けには、より高速な40Gbpsで通信できてUSB Type-Cコネクターを用いる「Thunderbolt 3」という選択肢が既にあるので、デュアルレーン対応で何かが大きく変わるということはないだろう。

 また、「USB 3.2」と記載しながらデュアルレーン転送に対応しない製品が出てくるであろうことには注意したい。というのも現在、シングルレーン5Gbpsの転送速度を表すのに「USB 3.0」と「USB 3.1 Gen.1」という表記が混在している。USB 3.0を更新したUSB 3.1の仕様書では、USB 3.0で追加された5Gbpsの転送速度をGen.1、10GbpsをGen.2としたためだ。

 USB 3.1を更新したUSB 3.2の仕様書には、シングルレーン動作は「Gen.1x1」「Gen.2x1」、デュアルレーン動作に「Gen.1x2」「Gen 2x2」と表記されている。つまり、「USB 3.2 Gen.1x1」と書けば、USB 3.0と同じシングルレーンの5Gbps転送にしか対応しないのに「USB 3.2」と記載できる(ただし、USB 3.2はUSB Type-C前提のため、USB Type-AポートをUSB 3.2 Gen〜と記載はできない)。

 というわけで、「USB 3.2」が実際の製品に採用された場合、バージョン表記だけに惑わされず、転送速度、デュアルレーン対応の有無をチェックする必要がある。

USB 3.2
仕様書内では、デュアルレーン通信は「Gen 2x2」などと「x2」を付けて表記されている(Universal Serial Bus 3.2 Specificationより)

無線LANは「IEEE 802.11ac(Wave 2)」でさらに高速化

 モバイルノートPCではLTE内蔵モデルが増えつつあるが、より多くのPCがネットワークに接続する手段と言えば無線LAN(Wi-Fi)だ。

 無線LANの主流がIEEE 802.11acに移行してしばらくたつが、これまでのPCでは第1世代(Wave 1)の仕様の製品が多かった。2018年はより高速な第2世代(Wave 2)に対応したPCが増えそうだ。

 Intelが新たに投入した無線LANモジュール「Intel Wireless-AC 9260」は、IEEE 802.11acの最大1733Mbps(160MHz幅)通信、ダウンリンク(DL)のMU-MIMO対応など、第2世代の機能に対応する。第2世代製品では160MHzのチャンネル幅を利用することによる高速通信や、1対多の同時通信ができるDL MU-MIMOに対応していることが特徴だ。

 前世代のモデル「Intel Dual Band Wireless-AC 8265」は最大867Mbpsなので、Wireless-AC 9260では最大通信速度が2倍になる。

AC 9260
Intelの無線LANモジュール「Intel Wireless-AC 9260」

 MU-MIMOを利用するにはルーターと端末両方の対応が必要(全端末が対応していれば理想だが、一部でも恩恵は得られる)だが、既に無線LANルーターやスマートフォンでは2016年ごろからMU-MIMO製品が販売されており、環境は整っている。後は接続するPC内蔵の無線LANが対応すればよい状況だ。

MU-MIMO
MU-MIMO対応はPCよりもスマートフォンの方が先行している。シャープのWebページのイメージが分かりやすい(AQUOS SERIE SHV32の製品情報より)

 ちなみに、次の無線LAN技術としては「IEEE 802.11ax」の標準化作業が進行中だ。このIEEE 802.11axでは、無線技術の普及に伴うトラフィックの増大を想定し、電波が混雑した環境の中での実効速度の向上に重きが置かれている。チップセットの開発は進んでいるが、まだドラフトの段階でもあり、もう少し先だろう。

 また、前出のIntel Wireless-AC 9260は「Bluetooth 5.0」にも対応する。このBluetooth 5.0では、Bluetooth 4.0で採用された省電力の通信モード「BLE(Bluetooth Low Energy)」の速度を2倍に、通信エリアを4倍に拡大している。

Wi-Fi
無線LAN規格。Wave 1、Wave 2というのは正式名称ではなく業界内で便宜的に使われてきたものなので、定義が曖昧だが、ここではIEEE 802.11acの規格上の上限をWave 2としている
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