マイニングPCで冬を越せるか マシンの発熱を暖房にしてみた(3/3 ページ)
暖房器具を使うと消費電力は約1000W。一方、熱を発しながら仮想通貨をマイニングすると暖まりながらお小遣いも得られる――のか?
温度を計測する条件としては、8時から12時まで1時間ごとに、外気温の影響を考慮するため外気温と室温をそれぞれ計測。4枚マイニング、2枚、1枚、0枚で日を変えて計測した。計測している間、室内に人はいないものとした。
4枚マイニングでは18℃の室温が23℃へ、2枚では17℃が19℃へ、1枚では18℃が20℃へ上がった。マイニングを稼働しない状況では室温変化はなかったため、いずれもマイニングによる室温上昇といえる。
4枚でのマイニングが最も高い室温を記録している一方、2枚と1枚の場合を比べると温度推移にあまり差があるようにはみえない。
そこで室温と気温の差を見てみると、1枚でのマイニングでは温度差の推移が0枚=マイニングなしの温度差の推移とあまり変わらないのに対し、2枚でのマイニングでは1枚時に比べて温度差が広く、気温に比べて室温を高く保てていることが分かる(12時に気温ががくっと下がっているせいで温度差がはね上がってみえるが、実際には室温への影響が追い付いていないだけだろう)。
これらの結果と、マイニングしている部屋で冬を過ごした実体験からすると、「5畳の部屋でグラフィックスカード4枚を用いてマイニングすると十分暖かい」といえる。マイニングしつつ室内で作業している際には、夜でも室温が28℃まで上がった時さえあった。
逆に、何かの拍子にマイニングが止まることもあった。カードを1枚刺したマシンが止まる分には気付かないのだが、3枚刺したマシンが止まると明らかに部屋の温度が下がり、止まったことに気付く。
温度差の推移のグラフと合わせて見ても、グラフィックスカード1枚のマイニングではそれほど暖房としての恩恵は感じられないが、(5畳の部屋であれば)2枚〜3枚から暖房として「実用的」といえるように思う。
ちなみに、グラフィックスカードを3枚刺したマシンのマイニング時消費電力が約620W、1枚刺したマシンのマイニング時消費電力が約250Wで、合わせて約870Wを消費していたことになる。
マイニングによる報酬と電気代についてはここでは詳しく計算しないが、ギリギリ黒字になる程度であることから、「タダで部屋が暖かくなり、お小遣いもちょっと得られる」くらいの認識でいるのが良いだろう。
以上が、マイニングとともに冬を過ごした筆者の体験談だ。季節柄、これから暖かくなることと、相変わらずグラフィックスカードの品薄が続くことから、これから「暖房+マイニング」としてグラフィックスカードを導入する動機付けは薄いとは思うが、こういう使い方もできるということを心に留め置いていただければ幸いだ。
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