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ゲーミングPCで仮想通貨マイニングはできるのか 〜機材の選定から掘ってみるまで〜(1/2 ページ)

マイニングとは言うけれど、実際掘るとどうなの?

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 今、グラフィックスカードの需要が高まっているのは「仮想通貨のマイニング」需要が1つの要因になっている。

 PCの計算リソースを仮想通貨の計算作業に割り当てる代わりに、計算量に応じた報酬を仮想通貨で得ることができる――これがマイニングの基本的な仕組みだ。

 そして、マイニングの計算には(計算アルゴリズムにもよるが)CPUよりGPUによる演算が向いているため、マイナー(miner:採掘者)と呼ばれる人々の中には、1台のマザーボードにより多くのグラフィックスカードを載せ、より多くの仮想通貨をマイニングすることにチャレンジしている人もいる。

 そういった専用マシンを用意しないまでも、一般的な家庭に置けるデスクトップPCではマイニングできないものだろうか。また、デスクトップPCでマイニングした際に、かかる電気代よりも多くのコインを掘れるのだろうか。そんな疑問をこの記事では検証していく。


マイニング専用マシンでなくてもマイニングで利益は出せるのか?(撮影:矢野渉)

 GPUによる演算がマイニングに有利であることは分かっているため、マシンコンセプトは「マイニングもできるゲーミングPC」ということにする。


パソコンSHOPアークの浦田氏

 評価機のパーツ選定には、ビットコインを店頭決済に導入したパソコンSHOPアークの浦田優樹氏に相談に乗っていただいた。

── ……というコンセプトでパーツを探しているのですが、良いパーツありませんか?

浦田(以下敬称略) 具体的に、必要な要件はどういったものですか?

── マイニング専用マシンにありがちな、グラフィックスカードが一般的なケースに収まらない構成は、マイニング以外の用途も考えるだろう一般家庭ではなかなか導入しにくいと思うんです。なのでATXタワーケースに収まって、できるだけグラフィックスカードを盛り盛り載せるのがいいかなと。グラフィックスカード4枚構成とかどうですか?

浦田 4枚って、ゲーミングPCで普通そんなに載せないですよ? 企画にかこつけてマイニングしたいだけなんじゃないですか?

―― ギクッ。ま、まあ導入初期はグラフィックスカード1、2枚でも、マイニングにはまってきたら4枚まで拡張できるという将来性も考えて、ということでどうですか。こちらでRadeon RX580は4枚用意してありますので。


疑いの目を向ける浦田氏

浦田 (疑いの目で見ながら)分かりました。そうなると、マザーボードはPCI Express x16ポートを4基搭載したものになりますね。

── ちょっと話がずれるんですが、PCIeから延長ケーブルを生やしてグラフィックスカードを挿しているマイニングマシンを見ていると、ほぼx1に挿してるじゃないですか。あれって転送帯域が狭まって計算速度に影響が出たりしないんですか?

浦田 影響はないといっていいはずです。なぜかというと、何十fpsも描画の更新が必要なゲームと違い、マイニングの場合はGPUがハッシュを計算して結果を返すだけですから、転送量はそこまで多くならないのです。

―― そうだったんですね。なんとなく「マザーボードにグラフィックスカードをPCIe x16に直接挿せたほうが計算速そう」と思っていたのも今回の企画を思い付いた一因だったんですが、マイニングに対してはあまり意味はないのですね……。ほかには何に気を付けたらいいですか?


語る浦田氏

浦田 エアフローが大事になってきますね。マイニング中はグラフィックスカードがガンガン発熱しますから、内部からしっかり排熱できるファンを持ったケースを選びましょう。

浦田 電源も、グラフィックスカードを4枚駆動させることを念頭に選ばないといけません。1000W級が必要になってくるので、やはり普段のゲーミングPCとはちょっとパーツ構成が変わってきます。

── なるほど。

浦田 マイニングには本来、(CPUマイニングをしないのであれば)CPUパワーや多くのメモリは必要としません。しかしゲーミングPCということですから、CPUとメモリもある程度載せましょう。CPUは最低でも第7世代Core i5。i7まで載せればいろいろと余裕がありますが、マイニングとゲーム以外に何をするかですね。メモリは最低でも8GBは欲しいところです。システムドライブにはSSDで256GBは必須ですね。これらをベースにした構成のPCを後日お送りします。

── よろしくお願いいたします!

 このようにして、PCパーツのプロに選んでいただいた「ゲーミング&マイニングPC」の構成がこちらだ。


PCパーツのプロが選んだ「ゲーミング&マイニングPC」
  • マザーボード:SuperMicro C7Z270-PG
  • 電源:Corsair HX1200i
  • ケース:Corsair 780T White version
  • CPU:Intel Core i7 7700
  • メモリ:SanMax SMD4-U16G48M-24R-D
  • SSD:Samsung SM961 MZVPW256HEGL-00000

 「ゲーム用途なのでLGA1151で選びました。その中でもPCI Express x16を4基載せるモデルは選択肢があまりありませんが、サーバを作っている会社ということもあり、信頼性からSuperMicroのC7Z270-PGをチョイスしました」(浦田さん)


背面のほか、前面と上面にもファンを配置した「Corsair 780T」

 選定のコメントとともに送られてきたメッセージには、「ぶっちゃけゲーミングPCとの両立で4Wayとかはちょっと無理がある感じでした。ゲーミングPCはゲーミングPCで1〜2枚のグラフィックスカードを挿してアイドル時間をマイニングに使い、マイニングPCはガチ構成で別で組んだほうがいいと思われます」とあった。

 確かにマザーボードの「C7Z270-PG」は3万円台後半と、一般的なZ270チップセットマザーボードの倍以上の価格だし、電源もゲームというよりワークステーションに使われるようなモデルで、これらを実際に組もうとすると予算オーバー感が否めない。

 ちょっとむちゃ振りだったかな……とは思うが、せっかくの企画なのでこの無理を言った構成だとどうなるか、このまま突き進んでいくことにする。

 ではここにグラフィックスカードを挿していこう……。

 あれ?

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