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子どもの「プログラミング教育」はゲームから始めるべき?子どもを守るITリテラシー学(1/2 ページ)

スマホやPCを子どもが当たり前に使う時代になりました。この連載では、主に小中学生の保護者に向けて、身近になったITをどう安全に活用し、子どもを守るのかを考えていきます。前回までセキュリティのテーマが続きましたが、今回はゲームで楽しみながら「プログラミング的思考」を伸ばすための方法について紹介します。

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 親子でぜひ体験してもらいたい、ある「ゲーム」があります。

 インターネット検索をしようとGoogleにアクセスすると、たまにGoogleのロゴががらりと変わっていて驚くことはありませんか。これは「Google Doodle(グーグル・ドゥードゥル)」というもので、Googleは何かの記念日に合わせて特別なロゴを作って期間限定で公開するといったことを繰り返しています。Doodleは「イタズラ書き」という意味です。

 このGoogle Doodleは単にロゴだけでなく、関連した動画やゲームを配信することがあります。これはある日見つけた、Google Doodleのゲームです。

Google Doodle
2017年12月4日に表示された「Google Doodle」(子供向けコーディング50周年

 このGoogle Doodleを実行すると、ウサギがニンジンを目の前にぴょんぴょん跳ねています。どうやら、ブロックを適切に配置することで、ウサギがその指示通りに動くようです。正しくブロックを配置し、マップにある全てのニンジンを食べることが目的のようです。

Google Doodle
どうやらブロックを置き、実行することでその通りの動きをする単純なゲームのようですが……

 ステージが進むと、1歩進むだけではなく、時計回りに90度回転する、反時計回りに90度回転する、そして繰り返すという新しいブロックが登場します。答えは一つではありません。幾つもの回答から、一番シンプルな答えを探し出すのもいいでしょう。大人でもちょっと頭を使わないとできない、楽しいパズルゲームになっています。

Google Doodle
ステージを進むと、だんだんと複雑なブロックの組み合わせが必要なレベルになってきます

 これは2017年12月4日、「子供向けコーディング50周年」を記念して作られたものです。GoogleとMIT(マサチューセッツ工科大学)のScratchチームが一緒になり、シンプルながらストレートにプログラミングの楽しさを教えてくれる、いい教材だと思います。まずはぜひ、親の皆さんから体験を。

2020年度「小学校プログラミング教育必修化」の前に知るべきこと

 皆さんも、新小学校学習指導要領において「小学校プログラミング教育の必修化」が2020年度より実施されるということを聞いたことがあるかもしれません。個人的にはとうとう来たか、と期待半分、不安半分なところです。これを機に、子どもに向けさまざまな教育プログラムが登場してくることでしょう。

 実際、私も幾つか子供向け、正確には小学校高学年〜中学、高校生でもできるとうたうプログラム教本を試してみました。でも、そのほとんどは「JavaScriptが分かる」「HTMLが書ける」「CSSでデザインができる」というもの。大変具体的ながら、内容はほぼ写経に近いものでした。もし自分が何も知らない状態だったら、きっと退屈で「プログラミングは面白くない」と思ってしまうでしょう。

 そもそも、2020年度から小学校に「プログラミング」という教科が加わるわけではありません。小学校の授業でプログラミング言語を学ぶようになるのではなく、算数や理科といった今まである教科の中で「プログラミング的思考」を育成するための授業などが行われるようになります。

 前述の指導要領には、プログラミング思考は「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」と書かれています。

 私は記者・編集者になる前、エンジニアでした。子供のころは8bitパソコン全盛期だったこともあり、プログラミングをやってみたいと思うきっかけはそこら中にありました。しかし、現在ではコンピュータはソフトが用意されていて当たり前、自分で作るという感覚は薄くなっています。単にプログラミング言語の文法を学ぶなどというのは退屈極まりないでしょう。

 それよりも、まずはコンピュータの動きに慣れることが、プログラミング的思考を伸ばすために重要だと思います。

言語体系よりもゲームを通じて「アルゴリズム」に慣れよう

 そのためには、子どもたちに身近な「ゲーム」から入るのも手です。その意味で、先の「子供向けコーディング50周年」で楽しめるゲームは、実はコーディングそのもの。これを楽しく体験させてみて、実はこれが「プログラミングなんだよ」と教えると、もしかしたら子どもたちの食いつきも違うかもしれません(だからこそ、親である皆さんに先に教えたかったのです)。

 しばらくすると、子どもたちも単純にはクリアができず、何度か試してエラーを直すというステップに入るはず。実はコンピュータは「何でもできる」のではなく、「指示されたことしかできない」、いや、もっと前向きにいうならば「あなたが指示したことならなんでもできる」というものなのです。

 その指示の仕方にこそ、アルゴリズム(算法)が必要だということが分かるはず。言語体系よりも、まずはその感覚になれること。それが、無料のゲームでできるのです。

 これぞ指導要領内でプログラミング的思考と表現されていたものに他なりません。もっとこういうものを体験したい! と子どもたちが感じたならばしめたもの。次のステップはもしかしたら「Minecraft(マインクラフト)」にあるかもしれません。

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