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「Apple Watch Series 4」 時計業界を席巻したスマートウォッチの最大の進化 (2/3)

林信行氏による「Apple Watch Series 4」の詳細レビュー。今や世界一の時計メーカーでもあるAppleは、第4世代のApple Watchでさらなる飛躍を遂げる。

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進化した画面上の世界観

 画面サイズの大型化でより多くの情報を表示できるようになったことを生かし、盤面に追加できる付加情報(コンプリケーション)の表示方法も見直されている。例えば、天候のコンプリケーションは、これまで天気の情報しか表示しなかったが、新しいものは現在の気温や最高気温、最低気温情報も表示するようになっている。

 ポケットやカバンからスマートフォンを出してアプリを起動しなくても、腕をのぞき込むだけで、自分のためにカスタマイズして選んだ重要情報が表示される。そこには、もともと飛行機のパイロット用として誕生した腕時計が、やがてパイロットに必要な情報を表示するようになっていった歴史を感じさせる進化の足取りが見てとれる。

 新しい盤面の1つ「Infograph」は、欲しい情報を効率的かつ見た目にも美しい形に集約し、アナログ時計にはないビビッドな色彩で提示する盤面だ。一方でヨガ好きの人の間で人気があるApple Watchアプリ、「呼吸」の美しいグラフィックをApple Watchの画面いっぱいに広げた盤面もある。

Apple Watch Series 4の広い画面を生かした専用のInfographicの盤面

 また、これはwatchOS 5でアップデートした全てのApple Watchで利用できる盤面だが、マテリアル系の盤面も魅力的だ。

 ろうそくの炎にしても、漂うクラゲなど自然界の中には、ぼーっといつまでも眺めていられるような動きが多い。初代Apple Watchでは、蝶の羽、開く花、そして漂うクラゲを膨大な時間と手間をかけて撮影して盤面に仕上げていたが、今回は炎、水、蒸気、そしてリキッドメタル(液体状の金属)といった流体の動きを、シミュレーションによるコンピュータグラフィックではなく、この盤面のためだけの専用スタジオを作って撮影した信じられないような映像で盤面にまとめている。

炎、水、蒸気、リキッドメタルといった流体の動きを楽しめるフェースは、これまでのApple WatchでもwatchOS 5にアップデートすることで利用できるが、Apple Watch Series 4にあわせて作られたものだ

 Appleが、たった1つの盤面に驚くべき手間をかける姿勢は、2年半かけて開発した初代Apple Watchにも負けていないようだ。実は今回のSeries 4の開発にあたっても、久しぶりにコンセプトブックが作られたという(しかも、そのブックは初代Apple Watchのコンセプトブックとキッチリ厚みをそろえたのだとか。デザイン好きの人にしか響かない話題かもしれないが、開発の舞台裏を映画にしてほしいくらいに思うのは筆者だけではないだろう)。

 もちろん、新しい盤面のためのフォントや文字表示のレイアウトバランスなども見直されている。ただ盤面やコンプリケーションを切り替えたり、ふっと浮かび上がってくる画面を楽しんだりといった何気ない行為の全てに心地よさが潜んでいるのは、裏にその一瞬を喜びに変える膨大なコストが掛けられているからだ、と改めてApple Watchに教えてもらうことになった。

生活そして生命をも支えるパートナー

 Apple Watchに興味がある人は、筆者のレビューだけでなく、他のレビューも読み比べることだろうから、冒頭では他のレビューでは語られないであろうApple Watchそのものの、そしてSeries 4のデザインの魅力をせっかくの機会なので語らせてもらった。

 デザインの魅力といえば美しいゴールドのミラネーゼループが放つ光沢の美しさや、新たにエルメスが開発した2色のバンドの美しさ(そしてそのバンドに合わせて開発した美しい盤面)についても、まだまだ語りたいところではある。が、ここからは少し機能や技術面のレビューもしていこう。

 改めて製品ページや発表会の様子を振り返ると、Apple Watchでは、新たにS4というプロセッサを搭載しアプリの切り替えを含めた全ての動作が速くなっているそうだ。実際にアプリの切り替えの速さの違いは、そんなことを教えてもらう前に実感できた。この速さもSeries 4を心地よくしている要因の1つだ。

 また、マイクやスピーカー位置を調整して、通話時などの音の品質を向上させ、ハウリングがおきにくくなっているという。これまでハウリングを起こしたことがないが、確かに音質の向上は感じた。

 ハードウェア上の特徴といえばもう1つ。背面のデザインが大きく変わり、新たに簡易的な心電図が追加された。医療機関で使うような本格的なものではないが、例えば、容体がおかしくなったときなど、Apple Watchで簡易的に心電図を記録しておけば、後に医師が診断する際に大きな参考になるとして、発表会では米国心臓協会の代表もこの機能の重要性を訴えた。


背面には心電図をとるためのセンサーも内蔵されている。日本で活用される日は来るのだろうか? 皆で声をあげていきたい

 残念ながら日本では、厚生省からの認可が下りておらず、心電図をとるのに必要なハードウェアは搭載しているものの、そのために必要なアプリが用意されておらず、使うことができない。この辺りは医療系の業界誌や、日常生活における医療データの重要性を信じる医師の方々の間で声をあげて、状況を変えていってほしい。

 Apple Watchには、既に不整脈などを検出して通知する機能が搭載されており、米国などではこの機能が、これまでに何人もの命を救い新聞などで話題になっている。

 ちなみにApple Watch Series 4には、もう1つ、私たちの命を救う機能が搭載されている。転んだり、階段から落ちたりといった「転倒」を検出する機能で、こちらは日本でも利用できる(Apple Watchの初期設定で年齢が65歳以上だと分かると自動的にオンになる。それ未満の年齢ではiPhone側の「Apple Watch」設定アプリでオンにする必要がある)。

残念ながら筆者がわざと倒れたくらいでは駆動しなかった転倒検出機能。警告を消さないと近親者や救急機関に自動的に連絡してくれる。65歳以上では最初からオンだが、それ未満の人は手動でオンにする必要がある

 落ちたときの加速度や手にくる反動などあらゆる要素をもとにかなり正確に診断しているようで、筆者が何度か恐る恐るベッドに倒れこんだくらいでは「転倒」として検出されなかった。転倒すると意識があるかを確認すべく警告が現れ、しばらくするとカウントダウンが始まる。カウントダウンが終了する前に通知を消さないと、メディカルID情報として登録している近親者や救急機関に連絡がいく、という仕組みだ。

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