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とはいえ、一部のネット社会では「RAWのもっちー」といえば、知らない人はいないデジタルカメラ界の貴公子のような人物である。「RAWのもっちー」とはどういうことかといえば、こうだ。
いまから3年前。すなわちニコンD1が出てまもない当時、もっちーは「D1はRAWデータの記録モードで撮影するべきだ」と公言し、各地で力説していた。ところが当時の写真業界ではプロからバカにされた。ついでにアマチュア写真愛好家からもバカにされた。「そんなかったるい作業ができるか」と。
「当時、写真系の雑誌では『どう撮るか』でなく、『こう撮っちゃったものをどうレタッチするか』というテクニック講座に終始していました。しかもJPEGで撮ったものについての記事です。しかし撮る時点でしっかりやらなくて、そのあとのデータのレスキューに努めるなんてナンセンスでしょう。
ほとんどのアマチュアの方の場合、デジタルカメラで突き当たる壁は「WBの設定」と「露出の設定」の2点に尽きます。この2点が出来ていれば、Photoshopでの補正には苦労しない。機械の性能をもっとも引き出し、将来に渡って資産として残すのであればRAWデータが最善である。そう確信して各地で唱えていたんです。しかし残念ながらだれもそう思わなかった。メーカーさえも、JPEG主体でカメラを開発していましたから」。
そんな中で、米国メーカーであるコダックだけは、RAWファイルの記録モードに特化したカメラづくりに励んでいた。当然、もっちーはコダックを好んで愛用することになる。RAWファイルをハンドリングするコダックのソフトには、キヤノンが簡単に追い付けない歴史があるのだ。
「それでもぼくが1Dsを購入した理由。それは1Dsの画像データのビューワ、およびRAW現像のソフトウェアとして、フェイズワンとアドビが対応したことですね。現像機が増えた、というわけです。ようやく仕事に使えるという判断に至りました。それがなかったら1Dsは購入していなかったでしょう」。
キヤノン純正のソフトウェアであるFile Viewer Utilityは拡大プレビューなどが致命的に遅いため、使い勝手も悪い。しかし問題なのはそれよりもほかのところにある、ともっちーは言う。すなわち、カラーマネジメントされていないことがもっとも重大な問題なのだと。sRGBであるべきデータをApple RGBで開いてしまうから、「露出が違ったんじゃないか?」というくらいに色みが変わって表示される。
「カメラ側で指定された色空間に対応しない、というのはデジタルカメラ・ユーザーの立場としては問題外でしょう」。
『デジタルフォト専科』(ソフトバンクパブリッシング)でカラーグラビアを連載中。JTBとのタイアップ企画で、旅先で撮る写真の提案をビジュアルで訴求している
機材は引き出しに整然と並ぶ。キヤノン、コダック、フジ、ニコンと各社のデジタル一眼レフを取り揃え、その奥にはマミヤやコンタックス645&カメラバック。これらはもちろん、全体のごく一部である
書斎脇のモバイルコーナー。すぐに出かけられるように、ノートパソコンやバッテリーなどをここで充電し、保管しておく
テラバイト単位の画像データをハンドリングするもっちーのオフィスでは、ご覧のRAID(レイド)が活躍する(Power Mac G4の隣の2台)
[島津篤志(電塾会友), ITmedia]
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