広角の楽しさは「28ミリ」に――ワイドズーム搭載「Caplio G4wide」レビュー(3/3)
リコーは、高屈折率で低分散の非球面レンズを独自の7群8枚レンズ構成にし、画像周辺部で十分な光量を確保することで、28ミリからの広角ズームレンズを作り上げた。高性能な広角レンズシステムを作り上げる開発力は、コンパクト銀塩カメラの名機「GR-1」を世に送り出した同社ならではだ。 レンズ描写と操作性の優秀さでファンが多いGR-1には、28ミリ単焦点で開放値F2.8の高性能広角レンズが搭載されていた。G4wideに採用されたズームレンズの開放値はF2.6からなので、レンズの明るさでは名機を上回っている。 では、デザインはどうだろうか。
G4wideは、今年2月に発表した「Caplio G3」シリーズから採用したボディデザインを継承。持ち手部分をR形状にして握りやすくしたそのデザインは、建築家でプロダクトデザイナーの黒川雅之氏が担当したものだ。 ただしサイズはG3シリーズから幅が約11ミリほど短くなり、重さも10グラム軽量化。112.9(幅)×36.4(奥行き)×57.5(高さ)ミリで重さ約150グラム(バッテリー別)となった。デザインはともかく、これで幅/高さ/重さではGR-1(117×26.5×61ミリ、180グラム)にだいぶ近づいてきたのだが、ズームレンズ搭載のためか、厚さがGR-1とは約10ミリも違うズングリムックリとしたボディは相変わらずだ。
G3シリーズよりも軽量コンパクトになったが、ズングリムックリとしたボディは相変わらず
G4wideにはシルバーとブラックの2色が用意される。筆者の好みは、ボディが引き締まって見えるブラックだ 電源は専用リチウムイオンバッテリー(「DB43」、別売り)のほか、入手しやすい単3形電池(2本)が使える。記録メディアはSDメモリーカードを使用。メディアは添付されないが、8Mバイトの内蔵メモリを装備しており、本体のみでも最高画質で最大4枚の撮影が行える。
リコーはデジカメの内蔵メモリ搭載に積極的なメーカーだ。少々脱線するが、筆者は内蔵メモリ大賛成派だ。 高画素化が著しい最近のデジカメは、1枚当たりのファイルサイズが1〜2Mバイト前後になる。だが、添付されるメディアの容量は依然として8M〜16Mバイトのものが多い。実際にカメラとして使用すると、こんな小容量メディアでは足りずに、ユーザーは結局64Mバイト以上のメディアを買い足すことになる。デジカメを複数台買い換えたことのある読者の手元には、出番の少ない小容量メディアが何枚か転がっているのではないだろうか。 だが、小容量でも内蔵していれば話は別だ。たとえ4枚しか撮影できなくても、緊急用としてなら十分だからだ。スロットに挿すメディアの容量以外に、いつでもプラス4枚の余裕があるという安心感は、なにものにも替え難い。 大容量メディアの同梱は本体価格に影響するため、やりたくてもできないというのがメーカーの本音だろう。それならば、申し訳程度の小容量メディアを添付するより、添付できる小容量メディア分のコストで内蔵メモリ化をデジカメメーカーには強く望みたい。
肉眼の見た目(遠近感)に近い画角である50ミリを標準レンズと呼び、それよりも広い画角を広角レンズと呼ぶのは周知のとおりだ。28ミリという焦点距離は、見た目とは違う世界が作品として残せるが、その描写力を生かすには撮影する側にもある程度の“ウデ”が必要になってくる。だが、被写界深度の深さから“ピンボケ”が少ないという初心者に優しい面も持ち合わせている。初心者にも扱いやすく、使いこなすにつれてウデを生かした作品作りもできる楽しさが“28ミリ”にはあるのだ。
実売では3万円台で入手できるであろうG4wideは、広角レンズ好きなユーザーのサブカメラにもってこいだ。そしておそらく、広角の魅力を知らないカメラファンはいないだろう。低価格なコンパクト機で28ミリからのズーム搭載機という選択肢は、今のところG4wideしかないことを考えると、意外と受けるかもしれない。 G4wideがヒットして、28ミリ相当レンズ搭載のデジカメがもっと増えることを“広角好き”の筆者はひそかに期待している。
リコー、28ミリからの広角ズーム搭載「Caplio G4wide」 関連リンク リコー [西坂真人, ITmedia ] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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