「iPhone 5は長期的にみると失敗作」とアナリストが主張する3つの理由
第4四半期に最も売れたスマートフォンといわれるiPhone 5だが、調査会社Raymond Jamesのアナリスト、トラヴィス・C・マッコート氏が、長期的には失敗作であると述べている。
Appleが2012年9月に発表した「iPhone 5」は、第4四半期に最も売れたスマートフォンとする統計がStrategy Analyticsから公開されている。しかし、調査会社Raymond Jamesのアナリスト、トラヴィス・C・マッコート氏が、長期的には失敗作であると述べている。
マッコート氏は、その理由について3つの要因を挙げている。
(1)アップグレード需要が少ない
マッコート氏によると、前機種にあたる「iPhone 4S」(iOS 5)は、パーソナルアシスタントサービスの「Siri」、クラウドサービスの「iCloud」などの新機能を備えた製品だったことから、iPhone 5へのアップグレード需要に影響を与えているという。iPhone 4Sは「iPhone 4」から15カ月後に発表されており、需要は堅牢で既存顧客からのアップグレード数は予想を上回っているという。
(2)LTEの恩恵が受けられる市場は限定的
iPhone 5の特徴の1つであるLTE対応だが、LTEを提供する通信キャリアは世界的にみると限定的であり、LTE対応によるメリットを享受できる市場は限られている。iPhone 5の第4四半期の実績は、LTEが普及しつつある米国では好調だったが、それ以外の地域では失望させる結果に終わっているとしている。当のApple側も、世界のiPhone 5購入者の半分以上がLTEネットワークにアクセスできない点を認識しているという。マッコート氏はこれも、iPhone 5へのアップグレード需要に影響していると分析している。
(3)大画面のトレンドを無視
iPhone 5は、iPhone 4Sの3.5インチより大きい4インチ画面を搭載しており、Appleは大画面のスマートフォンを再設計する必要があるとマッコート氏は指摘している。大画面のトレンドを拒否するAppleの姿勢は、ストレート型にこだわった2004年のNokia、物理キーボードにこだわった2009年のBlackBerryに似ているとしながらも、2社と比べると修正は簡単だとしている。
なお、AppleはiPhone 5発売から3日で500万台を売り切ったと報告している。登場当初は、地図アプリの変更、Wi-Fi関連の不具合などのマイナス面も指摘されていた。
関連記事
- モバイル調査リポート 記事一覧
- Apple、iOS 6の地図アプリデータを大幅改善 「パチンコガンダム駅」消滅
AppleがiOS 6の地図アプリの日本地図データを大幅に改善。不可解な地名表示が改められているほか、地図表示も見やすくなっている。 - iPhone 5、米国と英国の端末満足度調査でトップを逃す
iPhone 5は英国と米国ではともに、Android端末に王座を譲る形となった。 - iOS 6、iOS史上初のユーザー満足度減少へ――米調査で
米On Deviceの調査で、iOS 6の満足度がiOS史上初めて減少したことが分かった。Google Mapsに比べて精度が低い独自の地図アプリが足を引っ張ったとみられる。 - iPhone 5、世界のLTE携帯電話シェアで2位に躍進――第3四半期の実績で
Strategy Analyticsが実施したLTEスマートフォン市場の調査で、Apple初のLTE対応モデル「iPhone 5」が発売後すぐに26.7%のシェアを獲得し、一気に2位にランクインしたことが分かった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.