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» 2017年04月14日 06時00分 UPDATE

FM:橋の劣化状態を「貼るだけ」で把握できるフレキセンサー

産業技術総合研究所と大日本印刷は、橋などの道路インフラ構造体設備に貼り付けるだけで、ひずみ分布をモニタリングできるフレキシブル面パターンセンサーを発表した。

[庄司智昭,BUILT]

フレキシブル面パターンセンサー

 橋などの道路インフラ構造体を維持管理するため、センサーを活用した構造モニタリングの導入が進みつつある。老朽化する橋の増大に伴い専門作業員が不足し、点検やその後の経過観察が十分にできないという問題が生じているからだ。

 構造モニタリングにはひずみセンサーを活用するのが一般的だが、敷設コストが高く、施工性や配線の取り回しに難点があったという。産業技術総合研究所と大日本印刷は2017年4月、これらの課題を解決するセンサーシートを発表した。極薄シリコンフレキシブル基板実装技術*)と、保護フィルムと接着フィルムとの一体化技術で開発した、現場に容易に貼りつけられるフレキシブル面パターンセンサーである。

*)極薄シリコンフレキシブル基板実装技術:MEMS技術を活用して極薄化したシリコンセンサーや回路チップを、フレキシブル基板上に集積化する技術である。ハイブリッドエレクトロニクス技術の基盤技術の1つという。

左=フレキシブル面パターンセンサーの全体像と拡大図/右=センサーを用いた鋼橋(こうきょう)溶接部付近のひずみ分布測定の様子 (クリックで拡大) 出典:産総研

 同センサーを貼り付けた橋の上を車両が通過すると、フレキシブル面パターンセンサーと橋が一体となってひずみ、それに比例した電圧を出力するため、動ひずみ分布を高感度で計測可能とする。亀裂などの欠陥があると、車両通過時のひずみ分布に異常が現れることを利用して、劣化状態をモニタリングできる。

橋の健全性評価や効率的な点検へ

 産総研と大日本印刷は阪神高速道路の協力を得て、実際の高速道路橋にフレキシブル面パターンセンサーを複数枚施工。アンプと通信モジュールを接続して測定したところ、車両通過に伴う橋の変形をひずみ分布としてモニタリングできたという。

 「今回の実証実験のように、橋の動ひずみ分布を継続して常時モニタリングできれば、橋の健全性評価や効率的な点検を行うことができるようになる」(産総研)

(a)フレキシブル面パターンセンサーを貼り付けた試験体を変形させた場合の亀裂上、平滑面上のセンサーからの出力電圧波形/(b)出力電圧のピーク値のマッピング/(c)接着フィルムによる簡易施工/(d)高速道路橋に貼り付けたフレキシブルセンサーによるひずみ分布測定の様子 (クリックで拡大) 出典:産総研

 今後は高速道路橋にフレキシブル面パターンセンサーを貼り付けて、ひずみ分布測定と屋外耐久性を行うとともに、補修や補強した橋の経過観察の実証実験を行う。極薄シリコンフレキシブル基板実装技術を、アンプやマイコンなどの回路チップにも適用し、ハイブリッドエレクトロニクス技術の開発も推進していくとした。

 なお今回の研究開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」による成果である。

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