燃料電池バスから電力を供給、トヨタが2015年に向けて実用化を急ぐ:電気自動車
電気自動車に続く次世代自動車として注目を集める「燃料電池自動車」の実用化に向けた取り組みが進んできた。トヨタ自動車は羽田空港などで運行中の燃料電池バスを使って家庭などに電力を供給できるシステムを開発し、豊田市のプロジェクトで実用実験に乗り出す。
水素などを燃料にして走る「燃料電池自動車」が次世代自動車として注目を集めている。政府が7月末に発表した「エネルギーに関する今後の重点施策」の中でも次世代自動車の普及策に掲げられた。その一環で2015年までに4大都市圏(首都圏、中部、関西、北部九州)を中心に、燃料電池自動車向けの水素供給設備を100か所にわたって整備する方針が打ち出されている。
すでに日本のメーカーではトヨタ自動車、日産自動車、ホンダといった大手各社が燃料電池自動車を開発済みで、限定的な販売も始まっている。そのひとつが燃料電池バスで、トヨタはハイブリッド方式の「FCHV-BUS」をバス会社に供給しており、実際に羽田空港行きのリムジンバスなどで利用されている(図1)。
トヨタは今回FCHV-BUSをベースに、燃料電池バス(FCバス)から外部に電力を供給できるシステムを開発した。FCバスの燃料電池で発電した電力を交流100Vに変換して、車内にある2つのコンセントから最大3kW(各1.5kW)で供給する(図2)。
1台のFCバスに水素が最大レベルまで充填された状態で、100時間以上にわたって電力を供給することが可能になる。9月2日に愛知県豊田市で行われた防災訓練において20台の情報端末に電力を供給するデモを実施した。
さらにコンセント経由ではなくて建物の電気配線を通じて電力を供給できるV2H(Vehicle to Home)システムの開発も進めている。この方式だと最大で9.8kWの電力を50時間にわたって供給できるようになる見込みだ。2013年度から2年間をかけて「豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト」の中で実証実験を行う予定で、2015年度からの実用化に備える。
関連記事
- 国が7項目の省エネ強化策を提示、スマートメーターやBEMS/HEMSの普及など
燃料電池自動車の導入に向けて2015年までに100か所の水素補給設備 - EVで非常用電源確保、三菱自動車が本社ビルにシステム設置
蓄電容量16.0kWhの車を4台接続、3日分の電力を供給 - トヨタもクルマから家庭へ電力を供給、プリウスPHV向けに年内に提供開始
デンソーやミサワホームなどと共同開発 - 電気自動車は住宅の一部となっていく、応用例を各社が出展
日産、三菱、トヨタの3社が「スマートグリッド展2012」に - 電気自動車を家庭用電源に、世界初の実用システムが登場
日産が他メーカーに先行して販売開始
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.